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バイヤーが語るジョセフ チーニー

若き百貨店の紳士靴バイヤー対談 あらゆるドレスシューズを見てきたメンズ館バイヤーが語るジョセフ チーニー

バイヤーが語るジョセフ チーニー

移り変わりの激しいファッショントレンドの中にあって、古き良き製法やデザインで普遍的な魅力をもつ紳士靴。一方で、定番シューズもモディファイを繰り返し年々履き心地などクオリティがあがっているのもまた事実。そんな、奥深い紳士靴の世界を一番近くで、一番多く見てきた百貨店のシューズバイヤーではないでしょうか。現状の知見に留まらず、常にトレンドに敏感な彼らの審美眼を通して、紳士靴の今とジョセフ チーニーのこれからを紐解きます。今回お呼びしたのは、ともに「メンズ館」という大店を張る三越伊勢丹、阪急百貨店の敏腕2名。
 

潮流を捉える二大『メンズ館』の新星

三越伊勢丹 田畑智康 氏
三越伊勢丹 田畑智康 氏

2006年伊勢丹(当時)に入社。伊勢丹新宿店メンズ館の靴売り場からキャリアをスタートさせ、三越と合併後は複数店舗での靴のバイヤーとして活躍。2019年より伊勢丹新宿店メンズ館のバイヤーに就く。

バイヤーが語るジョセフ チーニー
阪急阪神百貨店 芝崎 優輔 氏

2007年に阪急百貨店(当時)に入社。阪急メンズ大阪の靴売り場に配属され、4年目からバイヤーとして活躍。現在、阪急メンズ大阪だけでなく、阪急メンズ東京、博多阪急の3店舗を担当している。
 

大きな流行が起きにくい中で、安定した人気を誇る英国靴

アルフレッド

-まずそれぞれの店での取り扱いブランドを教えてください。

田畑 リーガルからエドワード・グリーン、ジョン・ロブまで、幅広い品ぞろえをしているのがメンズ館の特徴ですね。価格帯でいうと2万円台から20万円超くらい。他の英国靴ではクロケット&ジョーンズ、トリッカーズも取り扱っています。

芝崎 取り扱いブランドはそれほど多くなく、メインは伊勢丹さんとそれほど変わりません。加えて、お客様の動向を見ながら別注品や限定品を企画して、バリエーションを充実させています。トレンドとしては英国靴に力を入れていますが、同じブランドでもポジションや役割は違うかもしれませんね。

バイヤーが語るジョセフ チーニー

田畑 最近はオフィスでの服装がカジュアル化している影響でドレスシューズの市場がシュリンクしてしまい、大きなトレンドが起きにくくなっています。過去にはイタリア靴や国産ブランドなどのブームがありましたが、そのようなトレンドはなく、その中でも英国靴は人気が安定していて、手堅いイメージがあります。ただ、プレーントゥやローファーのような汎用性のある靴が求められている傾向が強くなってきていて、フルグローブやセミブローグの売り上げは昔と比べると落ちていますね。芝崎さんのところではどうですか。

芝崎 基本的に同じ傾向です。例えば新年度を迎える前にフレッシャーズフェアをすると、黒のストレートチップがすごく売れた時代とは違って、ビジネスシューズのカテゴリーに入る革靴を買いに来られるお客様自体が減っています。一方で、スーツが好きだから着るというお客様が一定数いるので、6~7万円よりも価格が上の靴になると売り上げは堅調に推移しています。

田畑 靴好きのお客様に限定すると、売り場に並んでいるものではなく、もっと尖ったものなど、持っていない靴を欲しがられる人が多いので、指向性が深くなっていく感じです。

バイヤーが語るジョセフ チーニー

芝崎 私は時間があるときは店頭で販売もするのですが、お客様が履かれている靴だけでなく服装も確認して、そこから今起こっているトレンドを推測します。また、アウターを買われた紙袋を持たれたお客様を見かけるようになると、売り場にブーツを出すなど、買い付けの段階で計画したことより、売り場の状況を見ながら軌道修正することが多いですね。

田畑 私も週末の空いている時間は店頭に立っていることが多いので、お客様の動向を見ているだけでも勉強になります。むしろ最も大事な情報だと思っていて、例えば3足しか売れなくても、手に取られた人や実際に履かれた人はすごく多かったのに、何かしらの理由で購入には至らなかったということもある。その何らかの理由を改善するとベストセラーになる可能性もあります。ですから店頭でのお客様の背景を探っていくことは、とても大事だと考えています。

履き込んでいくうちに自分の一部になるような感覚は英国靴ならではの魅力

ジョセフ チーニー

-それでは本日のテーマであるジョセフ チーニーについて、まず英国靴についての印象を教えてください。

田畑 質実剛健で、ドレスシューズの基本中の基本が詰まっているという印象です。芝崎さんも海外出張に行かれると思いますが、工場を訪問して感じるのは非常に誠実なものづくりをしていること。細かい縫製も含めて非常に完成度が高く、またチーニーに代表されるように自社工場で一貫生産しているブランドが多いのが強みです。インポートの靴は価格が高いといわれますが。品質とのバランスを考えると決して高くないと思います。

芝崎 靴に興味を持ったきっかけが英国靴だったので、個人的に好みという部分を差し引いても、履いていくうちにフィットする感覚はやっぱり英国靴ならでは。履き始めは痛いこともあるのですが、履きこんでいくうちにフィットしていき自分の一部になるみたいな感じが好きです。あと、単純に見ていて落ち着きます。入社したての頃にジョン・ロブを買ったのですが、30歳手前でいったん履くのをやめてしまったんですよね。似合っていないというか、早すぎるんじゃないかと思って。

田畑 うん。なるほど。

芝崎 30歳を超えてから、再度履き始めたのですが、やっぱりかっこいい。年齢で縛るつもりはなく個人の自由なのですが、英国靴は大人になったら似合う靴なのかなと思っています。

バイヤーが語るジョセフ チーニー

田畑 英国靴の中でもチーニーの魅力は圧倒的なコストパフォーマンス。価格に対しての品質の良さが際立っていて、若い人でも手を出しやすい。実は今、チーニーはすごく売れていて、英国靴の中ではトレンドになっているといってもいいくらいです。

芝崎 チーニーは阪急メンズ東京では扱っていて、阪急メンズ大阪では2020年春夏から取り扱いがスタートします。価格帯でいうと決して高くはないのですが、安いかというとそうでもなくて、面白いのはエドワード・グリーンを履く人でもチーニーを履くんですよね。もちろん、普段リーガルを履く人でもチーニーを履きたいと思っていて、履きたいと思う人の幅がとても広いと感じています。

ジョン・ロブを履く人でもチーニーを選ぶのはつくりがしっかりしているから

アルフレッド

田畑 チーニーの何が好きかというとラスト。若い人たちが買われる一番の理由は、優れたコスパもあるのですが、125と呼ばれるラストの影響が大きい思います。一般的にインポートの靴は日本人にぴったり合うわけではなく、特に踵が大きいんですよね。ところが125ラストは踵が小さくて、内ぶりといってセンターのラインを内側に振っていて、これらの工夫が25歳から34歳までのミレニアム世代の人たちに合っているんです。この125ラストは2011年に開発されていて、英国ブランドって進化がないように思われがちなのですが、2000年以降もきちんとラストの開発をしているという点がいいところ。実際にうちでは、この125ラストを使ったストレートチップのALFRED(アルフレッド)が圧倒的なベストセラーで、若い人たちが指名買いします。

芝崎 先ほど話しました、エドワード・グリーンやジョン・ロブを履く人が、なぜチーニーを履くのかというと、つくりがしっかりしているからなんですね。ぱっと見たときにいい靴だと分かりますし、靴を脱ぐことが多い日本だと靴のことをある程度知っている人からすると、チーニーはライニングを見てもこまかいところまでこだわっているのが分かる。単純に価格の比較でエドワード・グリーンやジョン・ロブの3分の1の価格で買えることを考えると、ものすごくいい靴なのではないかと思っています。

アルフレッド

田畑 価格に対する品質というところで考えると、今の若い人たちはしっかりした必要なものだけを買うという印象で、買いたいものが明確に決まっている。身の丈に合ったものを買って、それが新品でなくてもいいという考えですね。先日、うちで開催した靴博ではユーズドのドレスシューズを販売したのですが、すごく売れました。いいものを新品で買うという発想ではなくて、ユーズドでも自分に合ったものがあればそれを価値として受け入れるという考えは若い人たちの間に浸透しています。無駄なものを買わないという考えで、その対象にチーニーが選ばれることが多くなっています。

芝崎 あとチーニーは他の英国靴と比べて特徴が非常にしっかりしていて、このデザインはあってしかるべきという定番をしっかり見極めてつくり込んでいる。だからピンポイントでの指名買いも多いのではないかと思います。

アルフレッド

田畑 改めてみると、丁寧につくられていますよね。なんか、レベルが上がっているような。

芝崎 確かにレベルが上がっています。昔のドレスシューズをよく知っているおじさんが言いがちなのが、「昔はよかった」的な話。

田畑 レザーは昔の方がよかったという話ですよね。いろいろなブランドでレザーは昔の方がよかったといわれがちなのですが、チーニーはむしろよくなっている気がします。

芝崎 レザーの質だけでなく、ラストやフォルム、デザインなど、私がバイヤーになりたての頃と比べると、クオリティはものすごく上がっています。

田畑 ラストへの根付かせ方というか、ラストの再現性もすごく高くなっている気がする。あと、今はアルフレッドのような長すぎないノーズが支持されています。

芝崎 やっぱり安心感のあるのはこれなんですよね。ラウンドの長すぎないノーズ。

125ラストの開発は、時代の変化に柔軟に対応していこうという考えの表れ

バイヤーが語るジョセフ チーニー

-お話が変わりまして、それぞれの店舗で扱われているチーニーのモデルを教えてください。

田畑 売り場としてチーニー対して期待している役割として、英国靴の入門編というのがあり、手堅く間違いのない靴選びをしていただきたいという思いで、定番のモデルを常時そろえています。

芝崎 阪急メンズ東京も定番を中心に取り揃えています。ですがこの秋冬は、脱ぎ履きしやすい靴ということでサイドゴアブーツも扱うようになりました。基本的にレースアップのブーツが選ばれにくくなっているので、エレガントで見た目もかっこよくて、さらに脱ぎ履きしやすいという理由ですね。この2~3年、サイドゴアブーツ自体が人気のアイテムとして注目されています。

アルフレッド

田畑 バイヤー目線でいうとアルフレッドは本当に好きですね。今、私の中でも注目しているのは内ぶりなんですよ。大量生産するにはどうしてもセンターに中心を持ってこないといけないのですが、でも足ってそもそも人差し指のところが高くなっている。既成靴だと、靴の最も高いところと足の最も高いところが合っていないところがあって、最近ではその問題をクリアしていこうというブランドがいくつか出ているんですね。そのためには木型のよさだけでなく、職人の技術の両方を兼ね備えていなくてはいけなくて、アルフレッドがこの価格で買えるのならイチオシですね。

芝崎 他に挙げるなら5万円台で展開しているシティコレクションもおすすめ。本当に入口の価格帯で、中でもフルグローブのウイングチップは、カントリーっぽい雰囲気というか、皆があまり履いていないような靴だからこそ履きたいというのはあります。改めて見ると、コテコテしている靴というのもなかなかかっこいい。こういう靴をあえてかちっとしたスーツに合わせるのもいいかもしれません。私は新入社員の頃、年に1回ノーザンプトンを訪れるという旅行を個人的にやっていて、チーニーのアウトレットで購入した茶色のグローブ系のモデルを2足所有しています。

フルブローグ

田畑 チーニーのオーナーであるウィリアム・チャーチ氏はジェントルマンで優しいですよね。

芝崎 海外の展示会に行くと、丁寧に商品を紹介してくださるのですが、会社の代表があれだけ細かく一つひとつを紹介するという事例は他にはありません。オーナーがものごとをよく分かっている証拠なので、そんなブランドは信頼できると思います。

田畑 オーナーに情熱があるというのは大事です。チーニーはセレクトショップなどの別注を手掛けることでも知られているのですが、小ロットなのにも関わらず柔軟に対応してくれる。それだけでなく、別注のロゴまでつくってくれるなんてなかなかありません。

芝崎 本当にそうですよね。英国ブランドってすごくいいものづくりをするのですが、一方で思考がストップしているところがあって、売れないということに対してその理由をなかなか理解してくれない。チーニーが細かく対応してくれるというのは、そのあたりのことを理解してくれているのだと思います。

田畑 マーケットに対しての理解がありますよね。市場は常に変化しているのに、その変化に対応してくれるブランドって少ないんですよ。125ラストが2011年に開発されているのも、時代の変化に柔軟に対応していこうというチーニーの考えの表れだと思います。

次代が変わっていく中で、お互いに言いたいことがいえる関係性が重要

ジョセフ チーニー

-それでは最後に、今後チーニーに期待したいことを教えてください。

田畑 英国靴はある種完成されていて、伝統の継承がすべてだというブランドもなくはないので、チーニーとはぜひ一緒に進化していきたいです。お客様の価値観やマーケットはこれからも変化していくので、技術的な進化も含めてどんどん変わっていければいいなと思います。

芝崎 トレンドが目まぐるしく変わっていくと、今までの買われ方とは違う買われ方というのが出てくると思うんですよね。その中で、どれだけ我々の要望を聞いてもらえて、形にできるかというところが売り上げにつながってくる。現在、チーニーにはこのようなことには対応していただいているので心配はしていないのですが、これからスーツがもっと着られなくなって、それこそ民族衣装みたいになる可能性だってある。そうなったときにどんな対応をしていただけるのかという点において、お互いどれだけ情報交換や情報収集できるかが重要だと思っています。よりお互いに言いたいことがいえる関係性をこれからも築いていきたいですね。

photo Masahiro Sano text K-suke Matsuda

ジョセフチーニー

英国好きのスタイリストが、12 年愛用しているドレスシューズ。「江東衣裳」代表/スタイリスト 部坂 尚吾

ジョセフチーニー


優れた技術の基盤とそれを積み重ねてきた伝統がある。
僕にとって「ジョセフ チーニー」は究極の “バイプレーヤー”です。

雑誌、広告、映画などで活躍するスタイストの部坂尚吾さんは、自他共に認める英国ラヴァー。毎年一度はイギリスを訪れ、その街の一員として雰囲気を味わい、人間観察を楽しんでいるそうです。そんな部坂さんですが、365日革靴以外は履かないというこだわりの持ち主。しかも、その趣向はかなり偏っているのだとか。長年愛用されている「ジョセフ チーニー」のお話と、革靴遍歴を尋ねました。

スタイリスト部坂 尚吾さん

イギリスの生活に溶け込み、雰囲気を味わう旅。

— よくイギリスへ旅行されているのはなぜですか?

イギリスのスーツスタイルが好きだったことが転じて、イギリスそのものを好きになってしまったからです。今では移住したいとすら思っています。だから、年に一度は休みを設けてヨーロッパへ旅行するようにしています。今年は、両親の還暦祝いを兼ねてイギリス旅行をしてきました。以前、フランスが好きな妻に合わせ、イギリスとフランスとの一週間ずつの滞在になったことがありましたが、滞在時間が短すぎて少し消化不良でした(笑)。観光地を巡るツアーも楽しいですが、できる限りその街に長くいて、そこで暮らすかのように滞在するようにしています。そのおかげで、表面的ではない物事を発見できるように思います。また、その際になるべく日本にいるときと同じような生活リズムをキープするように心がけています。旅先で張り切り過ぎて無理をしてしまうと大体体調を崩してしまうので……。イギリスはお店の閉まる時間が早く、早寝早起きの僕の生活リズムにもぴったり合っています。旅行はそういったことを実感したり、街や人の雰囲気を味わうことができる贅沢な時間です。あまりにも有意義な時間を過ごすことができるので、帰国するのが億劫になってしまうことがしばしばあります。

グレンロイヤル

スタイルからオリジナリティを感じること。

— 英国人から学んだことでとくに印象的だったことはありますか?

イギリスに行くたびに強く思うのは、確固たる自分のスタイルを持った人が多いということです。トレンドに敏感で、街を観察すれば何が旬なのかおおよそ見当のつく日本とは異なり、イギリスではそれが非常にわかりづらいです。たとえば、「ザ・フー」のバンドTシャツを着て、ボロボロのジーンズという出で立ちなのに、なぜか足元だけピカピカに磨かれたドレス靴を履いている人や、ビスポークであろうスーツを着こなす銀幕スターのような人など、オリジナリティ溢れる格好の人が多いです。自分自身のポリシーを持っていてスタイルを大切にする文化はとても魅力的に感じます。作り手のこだわりが伝わるものに魅力を感じて手に取ることが多いのですが、気が付けば茶系のレザーアイテムが多くなっていました。いずれも、昔ながらの製法を受け継ぐなどポリシーやスタイルを貫いているメーカーが多いです。先日のイギリス旅行でも、ブライドルレザーの水筒ケースに一目惚れしました。保温性に優れているようにも見えないし、とりわけ軽い訳でもない。なぜこれを生産しようと思ったのかが気になって仕方がなかったです。お店の店員さんも“本当に買うの?”というような表情をしていました(笑)。

ジョセフチーニー

365日革靴で過ごすのが、部坂流。

— 英国のオリジナリティを大切にする考えは、部坂さん自身のスタイルにも生きていますか?

そうかもしれません。僕は20代の前半の頃から革靴以外履かなくなりました。なぜかと言えば、革靴を履くとコーディネートが締まるのでかっこいいからというシンプルな理由です。昔、テレビ番組のADをやっていた時にロケハンで無人島へ行ったんです。その時にも当然のごとく真っ赤な革靴を履いていったら、ディレクターに「ふざけんなっ!」と本気で怒られたことがあります……。撮影前日に「別の靴を買ってこい」と言われてお金をもらったのですが、あろうことかコンバースのオールスターハイカットを買って行ってまた怒られました。もっと脱ぎ履きしやすい靴で来いという真意をはき違えていましたね(笑)。スタイルを貫くというのはなかなか簡単なことではありませんね。僕自身は、今も365日革靴を履き続けています。もちろんスタイリングをする際には、自分の好みを押し付けるようなことはしません。ですが、僕の好きなスタイルを理解し、共感してくださる方とお仕事をさせていただく機会が多いのは嬉しいことです。

ジョセフチーニー

自身の原体験であり、スタイルに合う英国靴に傾倒。

— 革靴遍歴を教えてください。

初めて履いた革靴のことはあまり覚えていないのですが、20代前半の時にスーツに合わせて英国靴を買ったのが最初だと思います。今日履いている「ジョセフ チーニー」を購入したのもその頃だったはず。その後、当時まだ根強く残っていたクラシコイタリアブームの影響でイタリア靴も履くようになりましたが、現在では、英国靴が圧倒的に多いです。たとえば、「ジョセフ チーニー」をはじめ「ジョンロブ」「エドワードグリーン」「チャーチ」「ジョージクレバリー」「フォスター&サン」「クロケット&ジョーンズ」「トリッカーズ」など、一通り英国メーカーは履いていますし、所有している革靴の8割は英国靴です。自分が履いてみたいと思ったものと、衣装として使ってみたいものを収集していった感じでしょうか。英国靴以外ですと、イタリアの「ストール・マンテラッシ」「マンニーナ」「エンツォ・ボナフェ」、フランスの「パラブーツ」なども何足か持っていますが、やはり英国靴の比ではないですね。こういった話をしていて、よく人に驚かれるのが、アメリカ靴を一足も持っていないことです。稀に衣装として使用することはあるものの、ついに自分で購入に至る機会はありませんでした。

ジョセフチーニー

12年前に、先輩の勧めで手に入れた思い出の品。

— 本日履かれている「ジョセフ チーニー」はいつ頃に購入されたものでしょうか。

これは12年ほど前に、当時勤めていたセレクトショップで購入しました。僕の着ていた英国式のスーツに合わせて、先輩が見立ててくれた思い出の一足です。古典的なバーズアイのスーツに、ストレートチップでは真面目過ぎるので、内羽根にメダリオンが施されたこのモデルを推薦してくれたんです。ドレスの革靴自体を履き始めて間もない頃に購入した一足ということもあり、思い入れが深く今でも愛用しています。自分で定期的に磨いているのですが、とても気に入っているので、時には二日連続履いてしまうこともあります(笑)。それにも関わらず12年間履いても未だに現役で、本当にしっかりした作りだということをしみじみと感じています。最近「ユニオンワークス」でオールソール交換をお願いしたのですが、従来のレザーソールからオークバークレザーのソールに換えたり、ヴィンテージスティールを施すなど、カスタムすることで違いを楽しんでいます。この「11028ラスト」は、履いた時の足の収まりがとても心地良いです。トゥが細くウィズが広いデザインも、スタイルを選ばずどんなスーツにも合わせやすいところが魅力的ですね。

ジョセフチーニー

主役にも脇役になる、究極の“バイプレーヤー”。

— 「ジョセフ チーニー」の印象を教えてください。

10足以上持っていますが、クローゼットを見返してみて改めてラインナップの幅広さを感じました。僕が所有しているモデルだけでも、「CAIRNGORM Ⅱ R (ケンゴン Ⅱ R)」のようなカントリーブーツカントリーシューズ、「ALFRED(アルフレッド)」のようなドレス靴シューズ、コンビのローファーみたいなカジュアルなものまで様々です。メーカーさんによって、ジャンルの得意不得意があると思うのですが、「ジョセフ チーニー」のコレクションはどのモデルも履きやすく、スタイリングに合わせやすいのが魅力だと思います。また、数多い英国の靴ブランドの中で、圧倒的に他社とのコラボレーションモデルが多いのではないでしょうか。優れた技術の基盤がしっかりとあり、それを積み重ねてきた伝統があります。それが、多少のアレンジを受け入れられる余裕を生み出すのではないでしょうか。こうした高い柔軟性を備えた「ジョセフ チーニー」を、僕は究極の“バイプレーヤー”だと思っています。これほどバランスの取れたメーカーは、稀有なのではないでしょうか。

スタイリスト部坂 尚吾さん
スタイリスト
部坂 尚吾さん

1985年生まれ。松竹京都撮影所、テレビ朝日での番組制作を経て、2011年よりスタイリストとして活動をスタート。2015年に、「江東衣裳」を設立する。映画、CM、雑誌、タレントなどのスタイリングから、各種媒体の企画、製作のディレクション、執筆など、マルチに活躍。BRITISH MADEのWEB内「STORIES」にて連載中。現在、スタイリストアシスタントを募集中。

photo Masahiro Sano text K-suke Matsuda

チーニー3足

定番3足を1週間コーディネート。 スタイリスト四方章敬さんならこう合わせる!



男の革靴、必要なのは最低3足。
仕事から休日までカバーするにはどう選ぶのが正解?

本格的な製法で作られたレザーシューズは何十年と愛用できますが、適切なお手入れに加えて“履いたら休ませる”ことが大切。靴の寿命を縮めないローテーションのためには、最低3足は必要といわれています。そこで、幅広いデザインバリエーションを誇るジョセフ チーニーのラインナップから、汎用性を考慮して3足をピックアップ。スタイリスト四方章敬さんに、1週間の活用例を提案いただきました。

チーニー3足

このラインナップなら、どんなシーンにも対応できる

いずれもジョセフ チーニーの定番モデル。左:オーセンティックなコインローファー「ハドソン」。程よく丸みを帯びつつ現代的なスマートさも感じさせるラスト5203を採用しています。きめ細かい上質なカーフで仕立てることにより、ドレススタイルへの対応力も高い一足。中:カジュアルライン“カントリーコレクション”の人気作「ケンゴン Ⅱ R」。
ミリタリーシューズに由来し、ラストはかつて英国軍にも提供していた4436を使用。さらに「ヴェルトショーン製法」と呼ばれる特殊なグッドイヤー製法で作ることで、雨水や埃が靴内部に入りにくく仕立てたヘビーデューティーなモデルです。右:セミブローグのドレスシューズ「ウィルフレッド」。端正で小ぶりな穴飾りによって装飾性を控えめにし、上品な印象に仕上げています。ラストはドレスシューズの定番125。2011年にブランド創業125周年を記念して誕生した木型で、小ぶりなヒールカップが日本人の足にもマッチします。

この3足を使って、スタイリスト四方さんが1週間コーディネートを提案

チーニー スタイリング

[Mon.]シリアスな会議は、スーツと内羽根靴でピリッと締めて。

週始めの月曜はミーティングの連続という方も多いはず。上役を交えた会議などシリアスな場面では、やはりビシッとスーツで臨みたいもの。乱れのない服装は相手に信頼感を与えるだけでなく、自分の立ち居振る舞いにも自信をつけてくれるはずです。そんなドレススタイルに合わせたのは、内羽根式セミブローグの「ウィルフレッド」。
「スーツはドレッシーなネイビーストライプですが、紡毛素材を選んで秋らしい季節感をさりげなく演出しています。ここに合わせる靴は王道のストレートチップでも悪くありませんが、少しだけ装飾性のあるセミブローグがベストマッチ。柔らかなスーツの生地感とあいまって、キリッと引き締まりつつも堅苦しくないビジネススタイルにまとまります。『ウィルフレッド』はラストがトゥボリュームは残しつつも、ウェストの絞りや小ぶりなヒールによりモダンな印象なので、スーツにも合わせやすいですね」(四方さん)

チーニー スタイリング

[Tue.] 終日市場リサーチ。外回りは上品かつ快適な足元で

一日中、外を歩き回るアクティブな日。疲れにくい服装でパフォーマンスを上げたいところですが、やはりビジネススタイルとしての上品さはキープすべき。そんなシーンで活躍するのが、ミリタリーシューズ由来の「ケンゴン Ⅱ R」です。締め付け感のない履き心地に加え、頑健なラバーソールにグレインレザーという素材使いにより、靴に気を遣うことなくガシガシ歩けるのもポイント。
「カントリーな表情の靴に合わせて、ツイードジャケットやミドルゲージのニットなど、温かみのある雰囲気でスタイリングしました。『ケンゴン Ⅱ R』はアッパーもソールも重厚で武骨ですが、外羽根式ウイングチップよりもデザインがシンプルなので、ビジネススタイルにも無理なく合わせられますね。コットンパンツを合わせる場合は、クリースの入ったもの選んでカジュアルに見えすぎないようにするとオンの佇まいをキープできます」(四方さん)

チーニー スタイリング

[Wed.]ノー残業デーは、カジュアルスーツとローファーで軽快に

社内が揃って早く退勤できるノー残業デー。なかなかスケジュールの合わない同期たちと、ブリティッシュパブで久しぶりに一杯……。そんな日は、リラックス感に加えて多少の華やかさもあると、楽しいムードをさらに盛り上げられることでしょう。
「パブに映える服装ということで、ロイヤルブルーのコットンスーツで軽やかさと華やぎを意識しました。インナーは寛ぎ感と上品さを兼備し、小粋な洒脱さも演出できるハイゲージのタートルニット。とくれば、足元も軽快なローファーが最適です。『ハドソン』はラウンドトウですがポッテリしすぎていないので、このスーツのようにドレスカジュアルな洋服と非常に相性がいいですね。アメリカのローファーとは一味違う、都会的な洗練を感じさせるところが魅力だと思います」(四方さん)

チーニー スタイリング

[Thu.]憂鬱な雨の日も、悪天候に強い一足があれば安心

雨天の通勤や外回りはなんとも憂鬱なもの。上半身は傘で守れても、靴底から冷たい水が染みて不快な思いをしたり、せっかくの革靴が泥で傷んでしまったりと、トラブルの種がたくさん。そんな日に「ケンゴン Ⅱ R」が大活躍してくれます。ヴェルトショーン製法とよばれる特殊な仕立てにより、雨水が中に染みにくい作りになっていることに加え、分厚いダブルコマンドソールで悪路も快適に歩くことができます。アッパーも汚れや水気に強いグレインレザーで、雨の中でも気を遣わなくていいのが魅力。
「肌寒い雨の日をイメージして、キルティングコートとコーディネートしました。靴もコートもカントリーテイストなので、全体に統一感が生まれますね。最近はコートもゆったりとしたワイドシルエットのものが主流になっていますが、ボリュームのある『ケンゴン Ⅱ R』はそんなコートと好バランスです」(四方さん)

チーニー  スタイリング

[Fri.]得意先と会食。セミブローグはジャケパンにも絶好

金曜夜には、長い付き合いのクライアントと食事会へ。気心知れた中なので、カチッとスーツで決める必要はないけれど、場にふさわしいドレス感は欲しい。そんな時はタイドアップしたジャケパンスタイルがちょうどいい具合です。そこに四方さんが合わせたのが、上品なセミブローグ「ウィルフレッド」。
「内羽根式のセミブローグシューズは、スーツにもジャケパンにも合う汎用性の高いデザイン。一足持っておくと重宝するアイテムです。このコーディネートでは、今季トレンドのフレンチを意識してみました。ポイントは黒を効かせること。ジャケット、ニット、ネクタイすべてに黒が入っています。足元の黒靴ともリンクして、トラディショナルだけれどクールな印象に映るのがポイントですね」(四方さん)

[Sat.]土曜は美術館へ。オーバーシャツとローファーできれいめに

美術館など大人な場所で過ごす休日は、服装も品よくきれいめにまとめたいところ。きちんと見えつつジャケットより気軽なオーバーシャツはそんなシーンで活躍するアイテムですが、そこに好相性なのがローファー「ハドソン」です。
「この『ハドソン』は色みもすごく魅力的ですね。少しグレーがかったブラウンで、渋さもありながら柔らかさも感じます。このコーディネートではイエローに近いベージュのコーデュロイパンツと合わせましたが、こういう華やかな色ともきれいに馴染んでくれます。トップスはガンクラブチェックのオーバーシャツにニットポロでトラッドにまとめつつ、スカーフをプラスして大人の洒落っ気を演出してみました」(四方さん)

[Sun.]クルマを飛ばして湖畔へ。大人アウトドアにも「ケンゴン Ⅱ R」が重宝

紅葉を見に湖畔まで日帰り旅行。もちろんスニーカーでもOKですが、より大人なスタイルで休日を満喫するなら、クラシックアウトドアでまとめるのがおすすめです。
「オイルドジャケットにカセンティーノ(イタリア、トスカーナ地方伝統のウール。毛玉のような起毛感が特徴)のプルオーバーといったトラッドなアイテムを活用して、アウドドアでも大人ならではのスタイルを考えました。こういったラギッドな装いにも『ケンゴン Ⅱ R』は似合いますね。履き込んで味を出していくと、さらにいい感じになると思います。オイルドジャケットやデニムと同様、エイジングでいっそう味わいが深まるのもこの靴の魅力だと思います」(四方さん)

英国ノーサンプトン伝統の本格的な作りはもちろん、大人の装いに幅広く対応するクラシックモダンなデザインもブランドの持ち味。四方さんのスタイリングを参考に、あなたのワードローブにも是非取り入れてみてください。

スタイリスト
四方章敬さん

1982年生まれ。武内雅英氏に師事し、2010年に独立。「LEON」「MEN’S EX」「Men’s Precious」「THE RAKE JAPAN」などラグジュアリーメンズ誌で活躍。ドレス、カジュアルともに精通し、クラシックを軸としつつひとひねり効かせたスタイリングに定評あり。

photo Kenichiro Higa text Hiromitsu Kosone

ケンゴン Ⅱ R

名物セールスパーソンがモノづくりに惚れ込んだ、全天候型シューズ。
「ディストリクト ユナイテッドアローズ」セールスマスター 森山 真司

ケンゴン Ⅱ R

大粒のグレインレザーは最近ではなかなか見かけません。
ヴェルトショーンウェルト製法からも、職人の温かみを感じます。

2000年にオープンした「ディストリクト ユナイテッドアローズ」の立ち上げ当時から在籍するメンバーの一人であり、名物セールスパーソンとしてファッション業界で知られる森山真司さん。30年にも及ぶ販売歴の中で「ジョセフ チーニー」の変遷を目の当たりにしてきた氏ですが、ここ数年は自身の務めるお店でも取り扱っている「CAIRNGORM(ケンゴン) Ⅱ R」を愛用しているそうです。今回は森山さんの革靴遍歴と共に、その魅力をお伺いしました。

森山 真司

役職を超えて、お店作りのすべてに携われるプロジェクト。

— 現在のお仕事の領域を教えてください。

セールスマスターという肩書きを頂き、販売員の見本となる役割として店頭に立っています。気持ち的には、『スター・ウォーズ』でいうところの“ジェダイマスター”のつもりです(笑)。それに加えて、ユナイテッドアローズの中ではディストリクト自体がスモールプロジェクトだということもあり、販促活動のプランニングや、ディレクター・栗野のバイイングに同行することもあります。ホームページにどういうコンテンツを作るか、SNSに何をアップするかなどを企画したり、担当を割り振るのは僕の仕事です。お店のメンバーは7人だけなので、本体の「ユナイテッドアローズ」レーベルとは異なり小回りが利きます。たとえば、買い付ける製品にしても、みんなの「こんなものが欲しい」が強く反映されています。それは立ち上げ当初からずっとそうですね。だからこそ、お店のブログに関してもみんなが自分ごととして紹介してくれますし、好きなブランドや企画したオリジナル製品によって、自ずと担当が決まってきます。将来的にこのお店を何店舗かに増やしたいという野望はありますが、それと同時に小さいプロジェクトだからこそ、裏方的な仕事をやりながら店頭でお客様と接することができるというのはメンバーの全員が感じていることだと思います。僕個人の話で言えば、マネージャー的なポジションは性分ではないので、これからも店頭に立ち続けていたいですね!

プラモデル

プラモデル製作は至高の楽しみ。

— オフの時間は何をされていますか?

子どもの頃から『スター・ウォーズ』に登場するメカが大好きでした。だから、撮影で使われたプロップがどうしても欲しかったんですが、当然実物のプロップは手に入れることができませんでした。『スター・ウォーズ』自体のグッズも気に入ったものは購入していたので、結果としてコレクションになっているのですが、最近では小さいフィギュアはすべて処分しましたし、プラモデルで作る方が楽しくてしょうがないです。とりわけ最近は、おそらく僕と同世代の方々がプラモデルを開発されているので、当時夢中になっていた思い出がある分、どんどん精巧になってきているので、ついつい買ってしまいます(笑)。ちょうどこの間、3年と8カ月の月日を費やしてコツコツと作っていた全長約94cmのミレニアムファルコンをついに完成させました。ただ組み立てるだけでは飽き足らず、ウェザリング(汚し技法)の入れ方や塗装の仕方などを、できる限り当時のプロップを撮影した資料をもとに、近づけて仕上げた自信作です。新品よりも汚れていたり、くたびれていて味が出ている方が好きだという点では、革靴の好みと通ずる部分があるのかもしれません。

英国靴

“たくあん色”の英国靴が、革靴遍歴の原点。

— 革靴遍歴を教えてください。

初めて履いた英国靴は30年以上前に「BEAMS F」さんで購入した「ポールセン・スコーン」の革靴。当時は欲しかったサイズが品切れで、自分に合うサイズではないものを履いていたので、残念ながら後輩に譲ってしまいました。それからは、さまざまな国の革靴を試しましたが、現在100足以上あるワードローブの中でも英国靴の割合が多いですね。最初に買った「ポールセン・スコーン」のエイコーンという英国らしいカラーに惚れて以来、引きずっている感じです。栗野をはじめ、ディストリクトではみんなが“たくあん色”と呼んでいますが(笑)。ほかにも、「ジョン・ロブ」のスエード二足や、ボックスロゴ時代の「エドワード・グリーン」の一足など、本日お持ちしたラインナップはどれも20年ほど履き続けていますがまだまだ現役です。そして、圧倒的に茶系の革靴が多いので色々な表情が出てきていて、長年育ててきた証として経年変化を楽しんでいます。年齢と共に変化したのはサイズ選びでしょうか。昔は先輩からの教えもあり、ギュンギュンに小さいサイズを選んで足に馴染ませることを美徳としていましたが、最近ではあまりサイズに頓着しなくなりました。よく考えてみたら、欧米人は家の中でも革靴を履いているのに、頭が痛くなるようなサイズを履くわけがないですよね。あとは、革底の地面を感じる感じが好きな反面で少し疲れてしまうこともあり、ラバーソールの革靴を最近では好むようになりました。

英国靴

品質が高く、愛情を注いだ分返ってくる。

— 英国靴の魅力とはなんでしょうか?

古い雑誌に英国のジェントルマンが写っていたのですが、みなさんビスポークで誂えたスーツをビシッと着ている上流紳士にも関わらず、シャツの襟やカフスがボロボロだったんですよ。昔の日本で言うところの“バンカラ”という考えに近くて、気に入ったものは何が何でも愛用するという考え方なのだと知りました。その有名な話として、チャールズ皇太子のパッチワークだらけの革靴がありますが、やはり良い品質のものを買えばくたびれても味になりますし、値段に関係なく愛情を注いだ分返ってくるものだと思っています。そういう意味では、英国靴には品質に信頼のおけるものが多いですよね。

ケンゴン Ⅱ R

懐かしいグレインレザーと全天候型の製法。

— 「ケンゴン Ⅱ R」に惹かれた理由を教えてください。

もともと職人さんの温もりを感じられる革靴が好きなのですが、二年前にヴェルトショーンウェルト製法の革靴を購入してから気に入り、一年前にこのバーガンディのケンゴン Ⅱ Rを購入しました。英国のカントリー的な雰囲気も良いですし、全天候型なのでとても重宝しています。綺麗な格好をした時にこういったソールは合わせるのは難しいのですが、もともとセオリー通りのコーディネートをしない方なので、タイドアップやジャケパンスタイルにも合わせています。アッパーに大粒のグレインレザーを使用しているところも懐かしくて良いですね。90年代頃にはよく見かけたのですが、最近はなかなか見かけなくなってしまった。シボがある分、傷がついてしまっても目立たないので気にせず履けるのも魅力です。僕は純正にこだわらず使い勝手が良いようにカスタムするのが好きなので革紐の長さを変えたり、うちのお店で取り扱っている「タカフミ アライ」のレザーキルトを付けてアレンジしています。今季、ディストリクトの別注としてケンゴン Ⅱ Rのオリーブカラーを発売したのですが、大好評ですぐにサイズ欠けしてしまいましたよ。

英国靴

英国らしい王道の靴づくりを継承するブランド。

— 「ジョセフ チーニー」の印象を教えてください。

昔は「ユナイテッドアローズ」のオリジナル革靴を作っていただいたこともあり、ファクトリーブランド的な印象が強かったですが、チャーチ創業家であるウィリアム・チャーチさんがマネージング・ディレクターになり、リブランディングされてからは王道の英国靴づくりを貫かれている印象です。英国製品には代々受け継いで長く使って育てていくというマインドがありますが、僕も息子が大学の卒業式を迎えた際に、スーツに合わせて自分の「ジョセフ チーニー」の革靴を貸してあげたことがあります。息子も「いずれは欲しい」と言っていましたね。長く愛用できるモノの良さを体感させることができて、僕自身も嬉しかったです。「ジョセフ チーニー」には、老舗の風格を持つブランドだからこそ、これからも英国の伝統的な部分を守りながら新しい提案をし続けて欲しいですね。

森山 真司
「ディストリクト ユナイテッドアローズ」セールスマスター
森山 真司さん

1968年生まれ。ファッション業界で30年に及ぶキャリアを誇り、『スター・ウォーズ』をこよなく愛する“自称ジェダイ”。「ディストリクト ユナイテッドアローズ」には立ち上げ時より在籍する名物セールスパーソン。趣味は愛犬の散歩とプラモデル。100足以上の革靴を所有。
https://b.houyhnhnm.jp/moriyama_shinji/

photo TRYOUT text K-suke Matsuda(RECKLESS)

ドレスバイヤーの想い入れを込めた、渾身の別注モデル。「ナノ・ユニバース」バイヤー 福島“ティアモ”雄介



歴史のあるシューメーカーながら、細かな要望にもしっかり応えてくれます。
別注させて頂いたモデルは、どれも想い出深いモノになりました。

メンズバイヤーとして活躍する傍ら、強烈なキャラクターでYouTubeのファッション番組「Tiamo La moda(ティアモ・ラ・モーダ)」のMCを務める福島雄介さん。自身にとって英国靴の原体験であり、2年連続で別注を手がけている「ジョセフ チーニー」に対して、並々ならぬ想い入れがあるようです。今回、ブランドとの出会いや別注モデルの話を踏まえて、革靴遍歴を伺いました。

番組のスタート時に、“運命的”に付いた愛称。

— “ティアモ”というニックネームの由来を教えてください。

気になりますよね(笑)。今の会社に入社して以来、レディースの販売やMDを担当していたのですが、2017年に大きな組織編成があり同年の4月から現在のメンズバイヤーを任せられることになりました。その話と同時に、8月からYouTubeのファッション番組「Tiamo La moda(ティアモ・ラ・モーダ)」をやって欲しいとオファーを頂いたんです。番組が始まるまでの4ヶ月間は何度も打ち合わせを重ねていたのですが、番組名が長いのでチームの皆が「ティアモ」と省略するようになりました。そして、初めての収録日を迎えたのですが、1本目の撮影時に、アシスタントMCを担当してくださっている広瀬未花さんが、なぜか僕のことを「ティアモさん」と呼んだんです(笑)。おそらくこちらも初めての取り組みでしたので、きちんと説明できていなかったのかもしれませんが、動画の全編を通じて「ティアモさん」と呼び続けていまして。それが由来です(笑)。僕もまさか30歳を超えてから、そんなニックネームが付くとは思っていなかったですが、今や会社の内線表にも“ティアモ”福島と書かれて愛称となりました(笑)。

垣根を壊し、ファッション好きを啓蒙していきたい。

— 「Tiamo La moda(ティアモ・ラ・モーダ)」に野望はありますか?

弊社としては、ナノ・ユニバースを知らない方や、ドレスアイテムが身近ではないお客様に親しみを持ってもらい、知識を深めるきっかけにして欲しいという想いがあります。番組を頑張れば頑張るだけ、お客様に届けることができますし、意外とお店のスタッフが視聴をしてくれて販売スキルとして活用してくれたりと、良い結果に繋がっているという感覚はあります。ですが、一番の目標は趣味=ファッションと言える方の人口を増やすことですね。今の時代、洋服屋が元気ないとか、洋服を買わない方が増えていると聞くことも多いので、まずはファッション業界を盛り上げて、ファッション好きを増やしていきたいんです。そういう意味では、他のセレクトショップさんのバイヤーさんたちを招いて対談をしたり、ゆくゆくはトーク番組的なこともやりたいと考えています(笑)。たとえば、番組で“バイヤーあるある”を語りあったり、“柄好きバイヤー”的な感じでこだわりの強い方を集めてみたり……、セレクトショップ同士の繋がりやファッションの楽しみ方が見えると、お客様も興味を持ちやすいと思うんですよね。各社のイメージがあるので、実現が難しいかもしれませんが、我々としては垣根なく業界を盛り上げていきたいです!

先輩のススメで購入したのを機に、ローファー愛に目覚める。

— 革靴遍歴を教えてください。

初めて本格的な革靴を購入したのは、今の会社に入社してからです。当時は20歳くらいでしたので、若いとナメられないようにジャケットを着ることを心がけていました。そこで自分のドレススタイルを表現する時に革靴の大事さに気づき、先輩の影響で「オールデン」のペニーローファーを購入しました。当時は英国靴よりもアメリカ靴が流行っていたこともあり、また先輩からも「オールデン」のペニーローファーとタッセルローファーは、仮にこの業界を辞めてしまっても重宝するからと勧められたこともあり。お金を貯めて、両方を手に入れてからは二足をヘビロテしていました。その次に買ったのが、「ジョセフ チーニー」のローファーです。スエードのコンビネーションタイプで、おそらく当時の別注だったと思います。それを機に、トレンドの流れもあって英国靴に傾倒していきました。「エドワードグリーン」や、本日持ってきた「ジョンロブ」や「ニュー&リングウッド」などですね。自宅に25足ほどありますが、メインで履いているのはローファーで、そのほとんどが英国靴です。スーツやシャツはイタリアの製品で遊びの利いたデザインを選ぶことが多いので、足元に安定感のある英国靴を合わせるとスタイリングとしてバランスが良いですよね。

想い入れのあるジョセフ チーニーを、“ティアモ”流に別注。

— とくに想い入れの深い革靴はありますか?

バイヤーになってから一番初めに別注した「ジョセフ チーニー」のタッセルローファーです。先輩に勧められた「オールデン」を機にローファーにハマり、その次に自分で選んだ「ジョセフ チーニー」を別注できるなんてことは、店頭で販売員をしていた時には考えもしませんでした。「良いものを作りたい」という意気込みから、ブローグのデザインにエッジを効かせて欲しいですとか、色のムラ感も含めて艶っぽい質感のレザーにしたいですとかすごく細かい注文をさせていただきましたね。ブラックとバーガンディとスエードコンビタイプの3種類を展開したのですが、店頭に並んだ時は感慨深かったです。今だから言えますが、その時は売ることよりも僕自身の好みの方が強かったのかもしれません(笑)。

そんな経緯もあって、今年の春夏シーズンも別注させていただきました。昨年の一月にファクトリー見学へ行った際に購入したシングルモンクの革靴がとても良かったので、それをベースにアレンジしました。モンクストラップシューズは甲をカバーするデザインですが、甲の比率と履き口部分を調整することで外見はドレッシーなシングルモンク、履き方や合わせ方はローファー感覚で履けるという一足ができました。こちらもレディースのカタログを見せて頂いてデザインの参考にしたり、ベルトを細くしたり金具をゴールドにするなど、かなりのワガママをお願いして実現した想い入れのあるモデルです。

イタリア出張には、ヴィンテージスチール&ハーフラバーが必須。

— 手入れや履き方にこだわりはありますか?

昔は、革靴のソールにラバーやスチールを付けることが邪道だと思っていたんです(笑)。レザーソール自体の感覚や返りを楽しむために、購入したまま履くことが多かったですね。ところが、バイヤーになってイタリア出張へ行った際に、その時履いていた革靴のソールが驚くくらいボコボコに痛んでしまいまして……。イタリアの街は石畳が多いので、トゥにスチールとハーフラバーを貼らないと出張の度に革靴がダメになってしまうんです。それ以来、購入してから一度は慣らすためにレザーソールで履くのですが、その後はトゥスチールとハーフラバーを貼るようになりました。先輩のバイヤーも革靴のトゥにはスチールを取り付けていたので、尋ねてみたらまったく同じ理由でしたね。

セレクトショップの一バイヤーの要望に、真摯に答えてくれる。

— 「ジョセフ チーニー」の印象を教えてください。

歴史のあるシューメーカーながら、ものすごく考え方に柔軟性があり、現代的な考え方を取り入れるのが上手いと思います。ガチガチのクラシック道を進むメーカーさんと時代に合わせて進化していくメーカーさんがありますが、「ジョセフ チーニー」はまさに後者。ブランドイメージを守るために別注は受けないという老舗メーカーさんも多い中、僕のような一バイヤーの要望を聞いてくださり、細やかな部分まで実現してくださることに感謝しています。自分の番組でも別注モデルの紹介をすることがありますが、歴史あるメーカーさんなのに新しいことに挑戦してくださる姿勢がお客様にとっても新鮮に映っているようです。本当に素敵なメーカーさんだと思います。

「ナノ・ユニバース」バイヤー
福島“ティアモ”雄介さん

1986年生まれ。2009年に株式会社ナノ・ユニバースに入社。ウィメンズの販売、MDを経て2017年よりメンズバイヤーに就任。また、同年から同社の公式YouTubeチャンネルにてスタートしたファッション番組「Tiamo La moda(ティアモ・ラ・モーダ)」(毎週木曜20時配信)の司会進行を担当。“ティアモ”福島の愛称で親しまれている。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLwwDP6vN3Zi3ujqTAn3VhQr_G09659qBK

photo TRYOUT text K-suke Matsuda

タンナーの代表が一目惚れした、コインローファー。 「栃木レザー」代表取締役 山本 昌邦


足入れをした瞬間にクオリティの高さを感じました。
英国らしい落ち着いたカラーも気に入っています。

国内屈指のタンナーとして知られている「栃木レザー」。1937年に創業し、軍需産業の発展とともに栄え、戦後は植物による「タンニンなめし」にこだわり、その魅力を世界に向けて発信し続けています。今回は、「栃木レザー」の代表である山本昌邦さんに、自身の革靴遍歴と愛用しているジョセフ チーニーの魅力について語っていただきました。

ただ消耗するのは、革に対して失礼だと気づいた20代。

— 山本さんの革靴遍歴を教えてください。

初めての革靴デビューは学生時代に履いたローファー。本革というよりは、合皮のようなものでしたが。その頃は、一足を履き潰しては新しいものに買い換えるというルーティンでしたね。ところが、就職をして商社に入った時に配属が革の原料部門だったんです。革の靴やバッグは子供の頃からなんとなく好きでしたが、その革が牛やさまざまな生物から作られているというイメージは正直ありませんでした。だからこそ、革になる前の皮という状態を見た時にはカルチャーショックを受けましたね。それを機に、革に対する想い入れが強くなり、革靴を履き潰すことが革に対して失礼だと気づきました。ですので、20代前半の頃から、どうせなら良い革靴を買おうということで、ボーナスが出た時には必ず革靴に投資していました。約40年前の所得からすれば革靴はとても高価なものだったので、高級な革靴であれば、一ヶ月分の給料が飛んでしまうということもざらでしたね(笑)。それでも、できる限り良い靴を揃え、7〜8足をローテーションするという履き方に変えました。

本当に良い革靴は、履かなくても持っておきたくなるもの。

— 想い入れのある革靴のエピソードを教えてください。

私は元々東京の商社に勤めていて、縁があって1985年から栃木で今の会社に移りました。その際に、何か記念となるものが欲しいと思い購入したのが、チャーチのコンサル(左)です。約30年前にどこかの百貨店で購入して、愛用していました。ここ2〜3年は履いていないのですが、自宅に飾ってあります。本当に良い靴だと思ったら、履かなくても持っておきたいんですよね。何足かは妻に捨てられてしまったのですが、「この想い出の革靴だけは、自分の勲章だから絶対に捨てないでくれ」と懇願しています(笑)。今日は持って来られなかったのですが、初めてのニューヨーク出張の時に買ったフローシャイムのウイングチップも想い出の一足です。お店で展示してあったので、足入れしたらぴったりで欲しい旨を店員さんに伝えたら、その方が店の奥から新しいものを持ってきたんです。「いや、今足を入れたこの靴がいいんだ」と伝えると、新しいものを欲しがらない日本人は珍しかったようで、「変わっているね」と言ってディスカウントしてくれました(笑)。もう一足は手前味噌ですが、リーガルとコラボして作った栃木レザーのシューズ(右)。最近は服装のカジュアル化傾向が進み、良い意味で弊社のタンニンなめしの革が注目されています。革靴のアッパーに使われることは珍しいので、嬉しさもあって愛用しています。

趣向は、ウイングチップからスリッポンへ。

— 革靴は何足くらいお持ちでしょうか?

履いていないものも合わせて、30足程度でしょうか。自分の体型ががっちりしていることもあり、それに合う革靴という意味でも質実剛健な英国靴が多いです。見た目にも安定感がありますし、グッドイヤーウェルト製法だとソールを替えれば長く愛用することができますからね。形はトラディショナルなウイングチップが好きです。色々な形を履きたいという気持ちもあるのですが、いつもつい同じような形を選んでしまいます(笑)。ですが、最近はお腹が出てきて紐を結ぶのが大変になったとこともあり、ローファーなどのスリッポンタイプの革靴を履く機会が増えました。パンツのデザインもスリムなものが多いので、バランス的にもスリッポンの方が合うんですよ。

本国にあるファクトリーショップで一目惚れ。

— 「ハドソン」との出会いを教えてください。

昨年の1月にジョセフ チーニーのファクトリーへ行ったのですが、待ち合わせの時刻より早めに着いてしまいました。すぐ隣にあったファクトリーショップに入って時間を潰そうと思っていたのですが、中に入るやいなや、このローファーを見つけ一目惚れしました。足を入れてみても自分の足にフィットしたので、気に入ってすぐに購入しました。とくに気に入っているのは色です。イギリスの製品は、他のヨーロッパの国々と比べて伝統の重みや重厚感を感じさせてくれるのですが、とくに色の出し方が落ち着いていて好きですね。気候や風土によるところが大きいのかもしれませんが、良い意味でくすんだ色出しが上手いですよね。それに、革質や作りもしっかりしていて足入れした瞬間から「これは長持ちするな」と感じました。カジュアルスタイルにもスーツスタイルにも合わせられるので、出張の時にも大活躍です。手入れは頻繁にはできないので、時間のある休みの日の朝に磨くように心がけています。

伝統を守り続けるために、日々改革を続けるメーカー。

— ジョセフ チーニーの印象を教えてください。

あらゆるものに共通していますが、天然素材を扱っている仕事は、絶対的な経験値がクオリティに反映されるというのが私の持論です。革にしても、1600年代頃から続いているヨーロッパのタンナーさんがなめした革は圧倒的に質が高いんですよね。長い歴史の中で積み重ねて来た技術力は、たとえそこで働く人が変わっても継承されていきます。よほど大きなデザイン変更や、経営マインドをガラッと変えたり、受け継いで来た製法を変えるとなれば話は変わるかもしれないですが。そういう意味では、英国に130年以上根付いているジョセフ チーニーの革靴は、質が高く味わいが明らかに違いますよね。これは、ある有名な寿司職人さんの受け売りですが、伝統とは改革があってこそ維持されていくものだと思います。寿司職人の世界で言うなら、シャリを握った時に毎回米粒の数が同じというレベルになれば本当の職人。それは、そこに到達するまでの創意工夫や変革を求めて積み重ねた努力の成果とも言えるわけです。ジョセフ チーニーは、ブランド自体に背景となる歴史がありながら常に改革を続けています。手前味噌ではありますが、自社にも通ずるそういった姿勢に非常に感銘を受けました。

「栃木レザー」代表取締役
山本 昌邦さん

1955年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、東京の商社で革の原料部門を担当する。1985年に栃木へ移り、「栃木皮革(現在の栃木レザー)」の代表取締役に就任。国内屈指のタンナーとして、植物を使用したタンニンなめしにこだわり、国内外に良質なレザーを供給し続けている。

photo TRYOUT text K-suke Matsuda

フォトグラファーの足元を守る、ミリタリーシューズ。 長山 一樹


傷や汚れを気にせずに、何処へでも履いていける革靴。
ロケ撮影の時にも大活躍しています。

ファッションフォトグラファーとしてさまざまな媒体で活躍する長山一樹さんは、その職業には珍しくどんな撮影にもスーツスタイルで臨んでいます。当然、スーツに合う革靴をたくさん所有しており、撮影場所の環境によって適した一足をセレクトしているそうです。そんな長山氏が「ジョセフ チーニー」のラインナップから選んだのは、ブランドを代表するミリタリーシューズ「CAIRNGORM Ⅱ R」でした。今回は、氏の革靴遍歴やお仕事の話とともに、その魅力を伺いました。

仕事以外の活動に、楽しみの幅を広げたかった。

— 昨年、自身初となる個展を開催されていましたが、仕事とやりたいことのバランスはどのようにお考えですか?

フリーランスになってから約10年が経ちますが、毎日違う仕事をやっているはずなのに、求められる答えの出し方に差がないということに気づいてしまったんです。忙しく仕事をできていることには感謝しているのですが、脳みその使い方が偏っているのは良くないと思い、何か仕事以外のことをやりたいと思い立ったんです。それまではテーマが自然と決まらないこともあって二の足を踏んでいましたが、次第に自分の好きなものが構築されてきたこともあって、「こういうことをしたら面白いかも」とイメージが湧いてきました。それが自分の今までやってきたことと辻褄が合ったので、満を辞して、ニューヨークの街角を切り取った「ON THE CORNER NYC」という個展を開催しました。もともとファッションというカルチャーが好きなので、どんな仕事も楽しいんですが、それ以外のところに楽しみの幅を広げてみたかったんですよね。今後は、「ON THE CORNER」というシリーズで色々な国や街を取り上げていきたいと思っています。まだ100%やるとは決めていないのですが、今はインド版をやってみたいと密かに思っています。1950年代にル・コルビジェが都市開発を手がけた「チャンディーガル」という都市へ行って、半世紀がすぎた建造物がどうなっているのか切り取ってみたいですね。

やりたいことがあったら、まずはカタチにしてみるのが大切。

— 写真家さんと言えばアクティブな格好の方が多い印象ですが、長山さんが確固たるスーツスタイルを貫いているのはなぜですか?

一年半くらい前に、やりたいことを紙に書き出してみたんですよ。たとえば、「地球を一周したい」とか、「何々が欲しい」とか。その中に、「スーツを一着仕立てたい」というのがあったので、なんとなく欲しいスーツ像を思い浮かべながらあるお店へ行ってパターンオーダーで仕立てたんです。その出来栄えがかなり良かったというのもあって、スーツを着るのが楽しくなってしまったんですよね(笑)。で、どうせなら毎日着ようと思って以来、このスタイルを貫いています。僕の場合、愛用しているカメラの性質的にも撮影の時にあまり動き回らなくて済むんですよ。時には、座って撮影することもあるくらいです。もちろん、アングルとして欲しい場合は這いつくばって撮ることもありますが、そういう時はアシスタントの子が気を使って床に何かを敷いてくれます。ロケ撮影の時にも、さすがに靴だけは変えていますが基本的にはスーツを着ています。注意しないとダブルに仕上げたパンツの裾に木屑や砂が入っている時があって、帰ってから嫁に怒られますが(笑)。このスタイルにして以来、嬉しいことにドレスクロージングの仕事が増えてきたんです。やはり、やりたいことや好きなことを本気でやっていると周りも呼応してくれるものですよね。

過去から未来を含めて、価値のあるモノを選びたい。

— モノを選ぶ際に大切にしていることはありますか?

カメラがまさにそうなのですが、手間暇をかけて作られていたり、歴史があって長く愛せる本質的なモノが好きですね。たとえば、今日持ってきた二台のカメラはスウェーデンの「ハッセルブラッド」というメーカーのもので、こっち(右)はスタジオマンの時にローンを組んで手に入れて以来15年以上愛用しているものです。これはもともとフィルムカメラなんですが、パーツを付けてデジタルにしているんです。なぜこういうことが成り立つのかと言うと、ブランド自体の歴史とアイデンティティがあって、時代の違うパーツ同士に整合性があるからなんですよね。そういう意味では、過去から未来を含めて価値がありますし、普遍的でありながら進化しているモノづくりというのは素晴らしいですよね。もう一方は、展示のためにニューヨークへ行く際に新調した「H6D」という最新モデルです。このカメラもまだ「H3D」だった頃から気に入っていて、シリーズとしては10年以上愛用しています。

アメリカ靴から始まり、英国靴にたどり着いた。

— 革靴遍歴を教えてください。

革靴への憧れはずっとあって、まだスーツスタイルに目覚める前に初めて「オールデン」のチャッカブーツを買いました。その後、モディファイドラストのプレーントゥやバリーラストのウイングチップも買ったのですが、当時はスーツを着ていなかったのであまり履く機会はなかったですね。今のスーツスタイルになって革靴をよく履くようになってからは、ペニーローファーやタッセルローファーも購入しました。さすがにレザーソールばかりだとロケ撮影の時に履く靴がないので「パラブーツ」も手に入れて愛用していましたが、もっとドレッシーな革靴が欲しいと思うようになり、英国靴に惹かれるようになりましたね。英国靴は、アッパーが上品でもソールがラバーであったり、カジュアルさの中にもドレッシーな要素があるようなシューズが多く、バランスの良いところが魅力だと思ってます。今は20足くらい革靴を持っていますが、基本的にはアメリカ靴と英国靴を履き分けているような感じです。コレクションという考えはまったくないので、どの靴もちゃんと履いて長くつき合っていきたいと思っています。

オフロードに屈せず、ガシガシ履けるタフなシューズ。

— 本日履いている「CAIRNGORM Ⅱ R」はどのような部分に惹かれましたか?

仕事柄、山や海へ行くことも多いので、ロケ撮影時の靴選びは重要なんです。仮に大自然の中へ出かける場合、デリケートな革靴を履いていくわけにはいかないですからね。そういう時に履いていくために、「CAIRNGORM Ⅱ R」を選びました。購入してから早速、樹海での撮影に履いて行ったのですが、ソールのグリップ力も抜群ですし、アッパーがタフなシボ革なので汚れや傷を気にせずガシガシ履くことができました。ドレスシューズだと、大切に履きたいがためにあまり履かなくなってしまったり、手入れにも神経を使わなければいけないんですが、良い意味であまり気にせずに履ける「CAIRNGORM Ⅱ R」はロケ撮影には最高の一足ですね。僕はスーツに合わせていますが、軍パンやチノパンツとの相性も良いですし、ソールが少し汚れているくらいでも逆にかっこいいかもしれないですよね。もともと、本当に気になるまで手入れをしない方なので、何もせずともかっこよさをキープしてくれるこの靴はかなり重宝しています。

ケンゴン

歴史と技術がありながら、新しいことにも挑戦している。

— 「ジョセフ チーニー」にはどのような印象をお持ちですか?

英国のシューメーカーにはライバルが多いですが、他と比べてモダンな要素があるところが好きです。歴史が長い分、変わらずに安定しているシューメーカーさんも良いと思いますが、「ジョセフ チーニー」は歴史と技術というベースがありながらも、そこだけに固執せずに今の時代の空気を取り入れながらアップデートしているという印象があります。僕の愛用しているカメラと同じように、普遍的でありながら進化しているモノづくりをしているところは素晴らしいですよね。それに、革靴を普段履かない人にとって正統派の革靴は価格的にも敷居が高いというイメージがありますが、「ジョセフ チーニー」は本格的なモノづくりにも関わらず、挑戦しやすい価格であるのも魅力だと思います。僕の場合、初めはミリタリーシューズから入ったわけですが、個人的に次は定番のストレートチップやウイングチップのモデルを履いてみたいと思っています。

フォトグラファー
長山 一樹さん

1982年生まれ。神奈川県出身。2001年に株式会社麻布スタジオに入社。その後、2004年に守本勝栄氏に師事する。2007年に独立し「S-14」に所属して以来、さまざまなファッション誌や広告などで活躍する。2018年には、初の個展「ON THE CORNER NYC」を開催。また同年に、自身が長年愛用しているカメラのメーカー「ハッセルブラッド」の、ジャパン・ローカルアンバサダーに就任する。
https://www.ngympicture.com

photo TRYOUT text K-suke Matsuda

ジョセフチーニー

解体することで見える、知られざるモノづくりの意匠。

ジョセフチーニー


シューリペアの雄・ユニオンワークスにより、代表モデルを解体。
「ジョセフ チーニー」の徹底したモノづくりを解明する。

160以上の工程を経て、さまざまなパーツにより生み出されるジョセフ チーニーの革靴。そのこだわりは目に見える部分だけに留まらず、普段は見ることのできない構造や部材にも職人やメーカーの意匠が凝らされています。そこで今回は、シューリペア界の草分けであり、年間に何千足もの革靴修理を手がける「ユニオンワークス」さんに、「ジョセフ チーニー」を代表する2モデル「ALFREAD」と「CAIRNGORM Ⅱ R」の解体を依頼。その工程で感じたモノづくりの良さを、代表の中川氏と工場長の櫻井氏に伺いました。

靴ジョセフ チーニーを代表する2つのマスターピース。

セミブローグ

ALFRED
ストレートチップモデル「ALFRED(アルフレッド)」は、アッパーにはカーフ、ソールにはレザーソールを使用し、木型には「125」を採用しています。このラストは、2011年にブランド125周年を記念して開発されました。細身でヒール部分を小ぶりに設計しており、現代人の足にフィットする構造が特徴です。スマートな表情ながら、バランスの取れた丸みのあるトゥに伝統的なクラシックさを感じる定番モデルです。

CAIRNGORM Ⅱ R
カントリーコレクションのモデルである「CAIRNGORM Ⅱ R(ケンゴン Ⅱ R)」は、アッパーにキズや汚れに強いグレインレザー、アウトソールにグリップ力と耐久性を兼ね備えたダブルコマンドソールを使用し、タフな作りで好評を博しています。また、木型には英国軍に供給していた実績もある、日本国内で展開している中では最も歴史の深い1969年に制作された「4436」を採用。非常に手間がかかる「ヴェルトショーンウェルト仕様」で作られており、アッパーとウェルトの隙間から雨水が浸入するのを防いでくれるのが魅力です。

今回解体を依頼したユニオンワークスを代表する2人。

中川一康

「ユニオンワークス」代表 中川一康
1965年生まれ。大学卒業後にファッションの道を志し、専門学校に通う。その後、アパレル会社を経て、靴修理の専門企業に就職。29歳で独立し、「ユニオンワークス」を設立する。初めは自宅兼工房でスタートし、現在では、渋谷、青山、銀座など5店舗を運営する。

「ユニオンワークス」工場長 櫻井博喜

「ユニオンワークス」工場長 櫻井博喜
記念すべきスタッフ第一号として「ユニオンワークス」に入社。現在はファクトリーの工場長として勤務し、年間1000足以上の靴修理を手がける。リペア歴20年以上の大ベテラン。

<各パーツの名称>

(左から順に)
1:アッパー
革靴の顔となる部分の革。

2:ライニング
アッパーの補強や足への快適性向上を目的にアッパーの裏側に付ける革。

3:先芯
トゥ周りを立体的に構築し、補強をするために入れる芯材。

4:月型芯
踵部の型崩れ防止とホールド力をアップのために、アッパーとライニングの間に入れる芯材。

5:ヒールソック
クッションの役割を持つインソールの踵部分を覆う薄皮。

6:縫い糸
リブとウェルトのすくい縫いに使われていた糸。各箇所に適切な糸が使われている。

7:ウェルト
アッパーやインソール、アウトソールを縫い付けるために必要な革。

8:インソール
足に接地する中底部分。裏側にはグッドイヤーウェルト製法で必要となるリブ
というパーツが付いている。

9:ミッドソール
インソールとアウトソールの間に入れるもう一枚のソール。
※使用しない場合もあります

10:シャンク
アウトソールとインソールの歪みを防ぐため、土踏まず部分に入れる芯材。

11:コルク
アウトソールとインソールの隙間を埋め、クッション材の役割を果たす。履くほどに足に馴染む。

12:アウトソール
ソールの着地面。ラバーやレザーなどさまざまな素材がある。

13:ヒール
アウトソールの踵部分に付くパーツ。一般的にアウトソールと同素材のものが付く。

英国製の品質を守り続ける数少ないメーカー。

中川:1990年代の半ばから靴修理の業界にいますが、最近は解体してみて「これ、すごいねぇ」と感動する革靴が減った気がします。

櫻井:そうですね。

中川:一概に「MADE IN ENGLAND」と言っても、中には次第に品質が悪くなっているメーカーもあるんですよね。オールソール交換という仕事で革靴を毎日のようにバラしていると、「なんだこれ」と思わざるを得ないほど作りに手を抜いている革靴もまぁまぁ見るんですよ。よくこれで検品を通してきたなと感じることも多々あります。そういう意味では、「ジョセフ チーニー」は良いですよね。バラしてみても、手を抜いている部分がまったくありませんでした。もともと真面目な靴だというイメージがあるよね?

櫻井:ありますね。今回、バラしてみてさらにそう感じました。釘を打つべきところにはしっかり打ってありますし、縫うべきところはきちんと縫ってありましたね。ソールを開いた時に、「綺麗だな」という印象が強かったです。

中川:精緻でマジメに作っているという姿勢が垣間見えますよね。革靴づくりの基本に忠実で、素材にも手を抜かずにきちんと作っている印象です。そういう意味では、価格に対して品質の高い革靴を作っている数少ないメーカーと言っても過言ではないと思います。

ステッチワークから見える技術力の高さ

中川:たとえば、外したウェルトを見ると分かるのですが、白い糸ですくい抜いをしている部分と、黒い点々で見えるアウトステッチのラインが重ならず、綺麗に平行になっています。これは基本で当たり前のことなんですが、今ではできるメーカーさんが少なくなってきているんです。革靴にとって、すくい抜いのステッチは、“心臓部”と言うべき大事な部分なので、ここに後からかけるアウトステッチが重なると、すくい縫いのステッチに触って、切れてしまうこともあるんです。そうなると完全に不良品なんですよね。ところが、こればかりはバラしてみないと分からないんです。

櫻井:「ジョセフ チーニー」の革靴は、ちゃんとアウトステッチがすくい縫いにギリギリ重ならない部分を縫っているので感心しました。現在は、このように縫うことができない英国の工場も多いですからね。すくい抜いのピッチが均等であることからも技術力の高さを感じます。

中川:あと、ウェルトにアウトステッチが縫われているのがちゃんと見えるじゃないですか。僕はこれがすごく好きなんですよ。ウェルトに浅くメスを入れてから縫う手法もありますが、革靴を長く履くことを考えるとあまり良くないんです。

櫻井:メスを入れることでウェルトが裂けやすくなることも多いですからね。新品の時には分からなくても、履き込んだり、革靴が痛んできた時にちぎれやすくなります。

中川:だからこそ、この革靴のようにウェルトにメスを入れずにしっかりアウトステッチが乗っていると安心ができて好きですね。中には、上から見た時にウェルトが張り出していて見える革靴もあるんですが、その方がリスクがなくて簡単なんです。「ジョセフ チーニー」のすごいところは、そこまで張り出しがないのにも関わらず、この仕様を実現できているところですね。

代々受け継がれてきた、妥協を許さないモノづくり。

中川:ソールはどうだった? パラっと剥がれた?

櫻井:どちらのモデルも綺麗に剥がれましたよ。革靴によっては、ソールを剥がした時にコルクが全部くっついてしまうモノもあるんですよ。

中川:昔の英国靴はアウトステッチだけでアッパーとソールを留めていたので、脇からカッターを入れて切ると綺麗にソールが剥がれたんです。最近では、接着してある革靴も多いので、変な話ですが「縫わなくてもいいんじゃないか」と思うこともあります。

櫻井:ソールが剥がしやすいということは、修理作業がしやすいということです。つまり、修理の際に余計な部分を痛めなくて済むんですよ。たとえば、ソールにこびりついたコルクを除去したり、無理に引っ張ってウェルトをちぎってしまう心配がないということですね。

中川:あとは、当然ソールの屈曲性にも関係してきますよ。接着ではなく、アウトステッチだけで留まっている方が断然履き心地は良いですね。

櫻井:あとは、アッパーのつり込みも深いですよね。最近では浅いモノも多いんですよ。アッパーの革がしっかり中につり込まれているからこそ、フォルムが美しいですよね。

中川:それは素晴らしいことだよね。リブの位置が外であればあるほど、作るのは楽になるんですよ。ただその分、見た目の美しさは欠けてしまうんです。

櫻井:そうなんです。深くつり込むことで、革靴を上から見た時にウェルトが見えなくなり、ソールが立体的に見えるようになります。「エドワード・グリーン」や「ガジアーノ&ガーリング」もかなり深くつり込んでいますよ。言ってしまえば、革靴の顔立ちを大きく左右する工程で、とくにドレスシューズには重要なポイントです。

素材のこだわりと美しさの追求に余念がない。

櫻井:パーツの一つひとつに天然素材を使っているというのも嬉しいですよね。たとえば「ALFRED」にはヒールの積み上げ部分に本革が使われていました。最近では、革と紙を細かく砕いて圧縮したパーツを使っているメーカーさんも多いんです。土踏まずの部分にも、歪みを防ぐためのウッドシャンクが使われていましたし、コルクの材質も良質でした。おそらく、「ジョン・ロブ」や「エドワード・グリーン」と同じ素材を使っているんじゃないでしょうか。

中川:見えない部分に使用されている素材の良さも然り、「ジョセフ チーニー」は見た目に影響するディテールにも妥協をしていないですよね。「ALFRED」は、コバのエッジ部分の仕上げが美しいと思いました。

櫻井:たしかに、そうですね。コバの中心を少しえぐって上下に爪(エッジ)を付けるダブルリップ仕様を辞めてしまうメーカーさんも多いんですよ。

中川:この爪がないと安っぽくて味気なく見えてしまうんですよね。なおかつ、「ALFRED」のように左右対称で同じ位置に爪をつけてあるとさらに美しい見た目に仕上げることができるんです。

革靴の製法にまで、職人のスピリットを感じる。

中川:「CAIRNGORM Ⅱ R」もすごいですよね。リペアで沢山の革靴をお預かりしますが、ヴェルトショーン製法の革靴というのは100足に1足あるかないかというぐらいなんです。この製法を続けているというのは本当に貴重ですよ。

櫻井:たしかにすごいですね。

中川:アッパーにアウトステッチがかかっているので、知識がないとステッチダウン製法と思うかもしれませんが、これはかなりすごい製法ですよ。ヴェルトショーン製法は、グッドイヤーウェルト製法の派生とも言われていますが、通常ならアッパーをライニングと一緒にリブとウェルトの間につり込み、どちらもすくい抜いで固定しますが、ヴェルトショーンの場合は、つり込んだ後、アッパーだけを戻して、ライニングは通常通り、リブ、ライニング、ウェルトですくい縫いを行い、逆にアッパーはウェルトの上に乗せてアッパー、ウェルト、アウトソールを出し縫いで止めています。そうすることでグッドイヤーウェルト製法とステッチダウン製法のメリットを併せ持つことができます。

櫻井:しかも、「CAIRNGORM Ⅱ R」はダブルソールなのでアッパーとウェルト、2枚のソールの4層をアウトステッチで一気に縫い付なければいけないですよね。

中川:非常に手間のかかる作業ですし、熟練した職人技術と特殊な機械も必要になるので生産数も限られるはずです。その甲斐もあって、防水性は高いでしょうね。

櫻井:しかも、グッドイヤーウェルト製法と同じようにリブが付いているので、隙間を埋めるためにインソールとアウトソールの間にコルクが敷き詰めてあり、シャンクも入っていました。その分ステッチダウン製法の革靴と比べて、屈曲性や履き心地が格段に上がります。

中川:「ジョセフ チーニー」のモノづくりの良さは間違いないですね。今回、2つの代表モデルを解体してみて、ある意味で“工芸品”に近いと言っても過言ではないと思いました。

ユニオンワークス

1996年に、英国製の紳士靴を中心とした靴修理店として渋谷区にて創業。2009年より、英国ブランドに依頼しオリジナルシューズの制作にも取り組む。現在では、青山、銀座、新宿などに6店舗を展開。リペア業に加えて、代表である中川氏の好きな洋服や革靴、雑貨の販売も行う。
https://www.union-works.co.jp

photo TRYOUT text K-suke Matsuda

日本一のシューシャイナーがたどり着いた、粋(いき)なローファー。 「THE WAY THINGS GO」オーナー/シューシャイナー 石見 豪


ケアと修理は切り離せないもの。
長く美しく履くためには、品質の高い英国靴が最適。

まったくの未経験の状態から路上で靴磨きをスタートし、出張靴磨きサービスなどを経て、何万足という数の革靴を磨いて修行。今年の初めに開催された「靴磨き日本選手権」に出場し、日本チャンピオンの座を勝ち取ったのが、大阪の靴磨き店「THE WAY THINGS GO」のオーナー兼シューシャイナーの石見豪さん。日々、沢山の革靴とそのストーリーに触れられている氏に、自身の革靴遍歴と英国靴の魅力を訊ねました。

靴磨きの重要性を文化として根付かせたい。

— 今年の初めに日本一のシューシャイナーの称号を獲得されたことで、さらに活動を注目されるようになったのではないでしょうか。現在は、どのような日々を過ごされていますか?

日本一になってからは、イベントや取材依頼がかなり増えました。「結果として「THE WAY THINGS GO」への来店数は、ほぼ倍になっているんです。年明けには東京にお店を出店するので、最近は東京にいることが多いですね。大阪へ戻るのは月に数回という生活を送っています。店頭に立っていることもありますが、最近ではオリジナル商品の企画にも意欲的に取り組んでいます。たとえば、このブラシも「KINKOU」というブランドを立ち上げてリリースしたモノですし、今着ているスーツも型紙からビスポークで仕立て、機械に読み込ませMTMオーダーにすることで、スタッフがユニフォームとして気軽に発注できるようにしました。

SNSのおかげで、靴が綺麗になる様子と、究極まで磨き上げた結果を誰もが気軽に見れるようになり、以前より靴磨きに関心を持たれている方が増えていますが、その一方でまだまだ「靴は修理しないと履けないが、磨かなくても履ける」と認識されている方も多いです。たしかに、グッドイヤーウェルト製法の靴であれば、ソールを張り替えれば長く履けると思いますが、やはりそこに至るまでのケアも必要なんですよね。アッパーのレザーが痛んでいるのに、ソールだけ張り替えて長く履いても格好悪いじゃないですか。そういう意味では、ケアと修理は切り離せないものだと思うので、街中に革靴の修理屋さんや洋服のクリーニング屋さんが沢山あるように、靴磨き屋が増えていけば文化としてさらに根付くと思っています。

お店の福利厚生として、本格的な「ヨガ」を導入。

— オフの時間には何をされていますか?

職業病なのですが、これまでに3万足以上の革靴を磨いてきたせいか、右腕が左腕に比べて7cmも太いんですよ。身体の左右のバランスが悪くなってしまうので、首が痛くなることも多々ありまして……。バランスの良いしなやかな筋肉をつけて、特に肩甲骨周りを重点的に、身体の柔軟性を高める必要があるんです。そこで、たまたまサッカー選手の長友佑都さんを教えていたヨガの先生が大阪にいらっしゃったので、お店の福利厚生にヨガを取り入れました。「THE WAY THINGS GO」が入っているビルに別の部屋を借りているので、その先生にお越し頂いて、休日にスタッフみんなで集まってヨガをやっています。勘違いされがちですが、ヨガはインナーマッスルを鍛えるハードな運動で、全身筋肉痛になります笑。あとは、スーツの似合う体型維持を目的にボルダリングなどもやっています。靴磨きはすごく体力のいる仕事なので、靴と同じように身体のメンテナンスも不可欠です。

お客様からの影響で日々磨かれていく感性。

— 革靴遍歴を教えてください。

サラリーマン時代に、勤めていた会社の社長から「バリー」の革靴を頂いたんです。革靴ブランドではありませんが、当時の僕からすれば、ちゃんとした革靴を履くのは初めてだったので衝撃でした。それ以来、ファッションや革靴に興味を持ち始め、自分で調べるようになりました。とくに勉強になったのは、お客様から得た知識です。出張で靴磨きをやっていた時も、茶道を嗜まれている方や立体駐車場があるような豪邸をお持ちの方の所へも行っていましたので、お客様が80万円も100万円もするスーツを着られていることも多かったんです。そこで、こちらも見栄えのするものを着ないと信用してもらえないと思ったのですが、時計やスーツの最高峰は価格も天井知らずで……。革靴であれば高級なモノでも数十万円でオーダーできるので、これならなんとか自分にも手が出るということで関心を深めていきました。社会人17年目ともなると累計で100足は超えましたが、欲しいというお客様やお店のスタッフに譲ったり、履く履かないを取捨選択しているうちに半分程になりました。
その内、よく履いている靴は20足程ですね。

中でも良く履いているのが、こちらの3足です。ジョン・ロブ ロンドンのゴルフシューズ/キルトはタンから繋がっています(笑)。あとはオーダーをしたのに、トゥとボディの色が反対であがってきた「ガジアーノ&ガーリング」のシューズ。このバタフライローファーもビスポークで、日本で初めてうちのお店がトランクショーをした「リカルドフレッチャベステッティ」のものです。イタリアのブランドらしく、ものすごく納期が遅れて苦労をしたのですが、デザインが気に入ってよく履いています。

年齢と共にたどり着いた、マイナスの美学。

ー 「ジョセフ チーニー」のローファーを購入されたきっかけを教えてください。

出張靴磨きの時に、出張先で膝をついたり、膝の上に靴を乗せて磨くことが多かったので、基本的にジャケットにデニムというスタイルで働いていました。それに伴い、カジュアルな外羽根式の靴が増えていったんですね。そういったこともあって、最近までローファーも先ほどお話したバタフライローファーしか持っていなかったんです。今のワードローブを考えてみても、グレーやネイビーなどの単色が多いですし、シンプルなローファーが欲しいと思っていたので「ジョセフ チーニー」のこの靴を購入しました。デニムにも合いますし、質実剛健なモノづくりながら、奇を衒わずにスタンダードなデザインにしているところが気に入っています。僕がかっこいいと思う50〜60代の方々がシンプルな格好をされていることもあり、年齢とともに江戸の粋(いき)と呼ばれるマイナスの美学に惹かれるようになりました。京都の上方では逆で、粋(すい)といって舞妓さんが華やかに着飾るようなプラスの美学なんですけどね。

品質が高く、ソールを変えるまでの寿命も長い。

ー 英国靴にはどのような魅力があると思いますか?

うちのお店でも、イタリア靴よりも英国靴をお持ちになられる方が非常に多いんですよ。アメリカ靴も多いですが、ほぼ「オールデン」という印象ですね。「ジョセフ チーニー」もそうですが、品質管理をすごく丁寧にされていますよね。安価な靴であれば、ソールを出し抜いする糸にナイロンの組糸を使っているので磨耗した時にすぐソールがダメになりますが、良い靴であれば麻糸にステッチングワックスやチャンを染み込ませたものでしっかり縫っているので、アウトステッチが切れたくらいでソールが開いたりしない。グッドイヤーウェルト製法の英国靴は、何度もソールを変えて履けると言われていますが、そもそもソールを変えることに至るまでの寿命が長いですよね。これはあくまで主観ですが、アメリカ靴は同じモデルでも個体差がでる確率が高いと感じています。比べて英国靴は、革をちゃんと間引いて選定する基準が平均的に高いと思います。靴自体の品質が高いからこそ、修理がしやすいというのも魅力ですよね。

靴をきちんと磨くことで、掴めるチャンスもある。

ー 革靴との理想的なつきあい方を教えてください。

サラリーマン時代の同僚が、初取引の契約を競合他社から勝ち取った時に、取引先の社長さんから言われた一言が印象に残っています。その時は、4社に相見積もりを取られていたようなのですが、明らかに他社の条件が良かったのにも関わらず、同僚の見積もりに決めてくださったんです。その理由が、「靴が綺麗だから」だったんですよ! 一つの価値観として、汚い靴を履いていた時に初対面で「汚いね」と言う方はいないですが、靴を綺麗にしているとそこを評価してくださる方もいるということです。つまり、汚い靴を履いていると逃しているチャンスが結構あるかもしれないんですよね。もし仮に取引先企業の社長さんが、そういう価値観であれば機会をもらえていない可能性がありますからね。そういう意味では、靴の美しさを一つのコミュニケーションや自己表現と捉えてみるのも面白いと思いました。

「THE WAY THINGS GO」オーナー/シューシャイナー
石見 豪さん

1982年生まれ。勤めていた会社を退社した後、靴磨き業に傾倒。路上から靴磨きをスタートし、修行を積んだ後、2012年、出張靴磨きサービスを創業。2015年、大阪の登録有形文化財内に靴磨き専門店「THE WAY THINGS GO(ザ ウェイ シングス ゴー)」をオープン。2018年1月、銀座三越店で開催された「靴磨き日本選手権大会」にて優勝。2019年1月、東京初となる店舗を出店予定。
https://www.twtgshoeshine.com

photo TRYOUT text K-suke Matsuda

アエラスタイルマガジン

ファッション誌編集長が語る、ビジネスマンが英国靴を履くべき理由。 「アエラスタイルマガジン」編集長 山本 晃弘

アエラスタイルマガジン


男性がモノを選ぶ時には理由が必要。そういう意味でも「ジョセフ チーニー」には魅力があります。

数々の男性誌で敏腕を振るい続けた後に、『アエラスタイルマガジン』を2008年に創刊。それ以来“ニッポンの男たちの着こなしを素敵にする”という命題に立ち向かい続けているのが、同誌の編集長を務める山本晃弘さん。実際にスーツを着て働くビジネスマンの意見に耳を傾け、洋服を素敵に着こなすためのルールを常にアップデートしている同誌だが、革靴においてはとくに英国靴を提案しているという。その哲学の所以や、山本さんも愛用している「ジョセフ チーニー」の魅力について尋ねた。

アエラスタイルマガジン

ビジネスマンに個性のある着こなしは必要ない。

— 山本さんは、『アエラスタイルマガジン』や、今年の3月に出版された著書『仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。』で、一貫して「着こなしに必要なのは、センスよりルール」という哲学を貫かれていますね。

『アエラスタイルマガジン』にも著書にも通ずることですが、友人にファッション雑誌を読まなくなった方が大勢いまして、そういう方々にもう一度ファッションの面白さを伝えたいという想いがありました。それを届けるためには、「センスですよ」とか「流行っていますよ」という表現では伝わらないと思い、「きちんとしたルールを知れば誰もが素敵になれる」というコンセプトを考えました。雑誌を創刊した時に、より多くの方に届けるためにタブロイドを連動し、最近ではWEBマガジンやイベントなど、さまざまなタッチポイントを設けて届けようとしています。それでも、まだまだ伝えられていないサイレントマジョリティーが沢山いることを次第に感じるようになりました。そういう方々に、少しでも伝えたいという想いもあり、『仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。』を上梓しました。そこには、『アエラスタイルマガジン』を10年作り続けてきた中で、また、男性ファッション誌に30年以上携わってきた中で、自分がどういう心がけで洋服のルールにたどり着いたのかを詰め込んでいます。よくビジネスマンの方々が目指すべきは、「個性のある上級者ではなく、知性のある中級者」とお話しますが、仕事で一番大切なのは間違いなく中身です。ただ、その中身が伝わるようにするためには、どういう着こなしをすべきか考えるのも仕事のうちだと思っています。だからこそ、素敵に見える着こなしの方法をルールとして伝えながら、実際にスーツを着て働くビジネスマンの声にも常に耳を傾けるようにしています。たとえば、「シャツのインナーに下着を着るべきか」、「スーツにバックパックを合わせるのはアリかナシか」など、リアルな声を聞いた上でルールをアップデートしていくのも私たちの使命だと思っています。

シューズ

数を持つよりも、生涯付き合える相棒を厳選。

— 革靴遍歴を教えてください。

初めて購入した革靴は、「コール ハーン」のファクトリーブランドが作っていたローファーです。故郷である岡山のアメカジショップで手に入れました。その後しばらくは、『メンズクラブ』や『ポパイ』を読んでアイビーの洗礼を受けて育ったこともあり、ローファーやデッキシューズを何足も持っていましたが、いわゆるドレスシューズというのは持っていませんでしたね。自分が『メンズクラブ』で編集の仕事をするようになってからもその名残があり、いつも靴担当の編集者と論争になっていましたよ。よくウールのスラックスに白スニーカーを合わせていたのですが、「山本さんのコーディネートは間違っている」と言われまして(笑)。ドレスパンツにドレスシューズを合わせるのは当たり前過ぎるので、「自分は自分のスタイルを貫く」と当時は少し尖っていたんですよね。今思えば、若気の至りとも言えますし、年齢的にドレススタイルに対しての照れがあったのかもしれません。どちらかと言えば、デニムやチノーズにプレーントゥの革靴やローファーを合わせる方が好みでしたね。しっかりとしたスーツスタイルにドレスシューズを履くようになったのは、『アエラスタイルマガジン』を創刊した頃からでしょうか。ワードローブに関して、「男が一生のうちに付き合う服や靴の種類はそれほど多くなくていい」という考え方をもともと持っているので、所有している革靴はそれほど多くありません。今履いている「ジョセフ チーニー」のプレーントゥ、本日お持ちした「クロケット&ジョーンズ」のストレートチップ、「チャーチ」のモンクストラップやチャッカブーツのほかに、「オールデン」のプレーントゥやローファーなどを持っていますよ。スーツを着用する時には、雑誌でも英国靴を選ぶことが多いですね。

ネクタイ

必要な処置に応じて、お店を使い分ける。

— 革靴のお手入れにこだわりはありますか?

マメな方ではないので、1〜2ヶ月に一度のペースで所有している革靴を磨くように心がけています。その他に、メンテナンスの種類によってお店を使い分けています。たとえば、仕事や展示会回りの合間には、有楽町の靴磨き屋さん「千葉スペシャル」に立ち寄り履いている靴を磨いてもらいますし、靴に雨染みができてしまった際には、新橋駅の地下にある「靴磨き本舗」にメンテナンスをお願いしています。また、年に一度まとめて「ユニオンワークス」に持ち込み、ソールの張り替えなど、必要なリペアを施してもらっています。

本当の“一生モノ”になり得るのが英国靴の魅力。

— 『アエラスタイルマガジン』で、英国靴を勧められているのはなぜですか?

一番の理由は、ソールの張り替えができるグッドイヤーウェルト製法を世に広めた国だからです。たとえば、この商品が高いのか、あるいは安いのかを考える時に、高くても買う理由があれば高くないですし、逆に安くても値段に見合う価値がなければ安くはないわけです。という風に考えると、英国靴を購入し、ソールを張り替えながら何年も付き合い続けるのか、1〜2万円の革靴を購入して一年に満たずして履き潰すのか、どちらが賢いビジネスマンなのかは明らかですよね。以前、とある高級時計ブランドのCEOをインタビューした時に、「日本の男性は靴と時計にお金をかけなさ過ぎる」と言われました。これは非常にロジカルな話で、たとえば、スーツと、靴や時計の使用頻度を比べてみると靴や時計が使用頻度が高いですよね。それに、一生同じ洋服を着ているという人は稀有ですが、靴や時計は本当の一生モノになり得ます。時計は子供に受け継げば一生どころか二生にもなりますし、靴はエイジングを楽しむことで一生付き合える着こなしのパートナーにすることができます。そういった理由で、質実剛健な作りで、リペアをしながら長く愛用できる英国靴を選んでくださいという提案をしています。

ジョセフチーニー

技術力の高さとブランドストーリーに惹かれる。

— 「ジョセフ チーニー」の印象を教えてください。

英国靴のブランドは沢山ありますが、「ジョン ロブ」や「エドワードグリーン」は、一生に一度は“世紀の逸品”に足を入れてみたいという方に、もう少しファッション性を求める方には、「チャーチ」を買うべきでしょうという話をよくします。で、私が一般のビジネスマンに最も勧めたいのが、価格とクオリティのバランスが取れた、「ジョセフ チーニー」と「クロケット&ジョーンズ」です。とくに「ジョセフ チーニー」に関しては、チャーチ家で育った二人の兄弟がノーサンプトンの正統な靴作りを守るために「チャーチ」と袂を分けてブランドを確立したという背景も良いですよね。男性がモノを選ぶ時の理由としては、そういったストーリーが重要だと思います。個人的には「チャーチ」と別れたことは喜ばしいことだと思っています。「チャーチ」はプラダグループに買収されたことで、ファッションピープルが憧れるブランドに成長しましたし、世の中に認知されるだけの新しい提案をしましたよね。そのおかげで、ノーサンプトンのモノづくりの素晴らしさが広く伝わったと思います。それに対して「ジョセフ チーニー」は伝統を守っているイメージがありますが、じつは世界中のショップやブランドとのコラボレーションに対して非常に柔軟ですよね。裏を返せば、ファクトリーとして機能していたブランド背景もあって、技術力が非常に高いと言うこともできます。そういった理由で、「ジョセフ チーニー」には沢山の魅力があると思います。

“アンダーステートメント”を体現した一足。

ー 愛用されている「ジョセフ チーニー」に惹かれた理由を教えてください。

これは約3年前に「BRITISH MADE 青山本店」で購入したものです。『アエラスタイルマガジン』を創刊したばかりの頃は、黒の革靴を推奨していたのですが、次第に「いやいや茶の革靴もアリでしょう」と思うようになりました。ちょうどその着こなしのルール改定を検討していた時期にこの靴に出会いました。フォルムやラストの形が自分の足に合うというのも魅力ですが、エイジングされたかのような深みのある茶の色合いにとくに惹かれました。よく「茶色の靴を履く時には、ベルトと色を合わせるべし」と提案していますが、この靴に合う茶色のベルトがなかなか見つからなかったという後日談もあります(笑)。また、これは英国に靴の取材へ行った時にシューズショップの店員さんから教えられたことでもありますが、英国製品の魅力は“アンダーステートメント”であることだと思います。悪目立ちせず、上品で質が良いモノという意味なのですが、これはビジネスマンにも言えることで、能力があって控えめな人というのは最も輝いて見えますよね。この靴は、まさにそんな一足だと思います。

ジョセフチーニー

「アエラスタイルマガジン」編集長
山本 晃弘さん

1963年生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、ファッションエディターとしてのキャリアをスタート。『MEN’S CLUB』、『GQ JAPAN』などを経て、2008年に朝日新聞出版の設立に参画。同年11月には、編集長として『AERA STYLE MAGAZINE』を立ち上げる。雑誌の編集のほか、ファッションやライフスタイルのコンテンツ・動画制作、ビジネスマンや就活生に向けた「スーツの着こなし」アドバイザーなど、媒体を問わず幅広く活躍。著書に、『仕事ができる人は、小さめスーツを着ている。』。
https://asm.asahi.com

photo TRYOUT text K-suke Matsuda