カテゴリー: SHOES

すべての革靴を愛する方に贈る、革靴にまつわる“知る・探す・履く”

すべての革靴を愛する方に贈る、革靴にまつわる“知る・探す・履く”

すべての革靴を愛する方に贈る、革靴にまつわる“知る・探す・履く”

「ジョセフ チーニー」に寄せられるさまざまな質問を厳選し、革靴にまつわるお悩みを解決するための知識と知恵をご紹介します。ビギナーの方でも、たくさん靴を愛でてきた方でも“次の一足は…”と考える時間はきっと心躍るのではないでしょうか。代表的な型を理解して、数多のデザインからご自身のスタイルとライフスタイルに合った一足を手に入れる…。ビジネスシーンなのか、プライベートなのか使用するシチュエーションを考えながら、改めて「知る」「探す」「履く」と3つの工程ごとに分かれたQ&Aをご覧ください。

革靴を知る

【革靴を知る】

ひとえに革靴と言っても、そのデザインにはさまざまな種類があります。まずは代表的なモデルとその特性を理解し、革靴を構成する重要なパーツであるアッパーやソールの特徴と機能について知りましょう。


Q: 代表的な革靴の種類は?

革靴のデザインを大別すると5つのカテゴリーに分けることができます。

①レースアップ・シューズ
ハトメに通した靴紐で、フィット感を調整できるデザインです。イギリス王室をルーツに持ち、「オックスフォード」と呼ばれるフォーマルな「内羽根式」と、軍靴をルーツに持ち、「ダービー」と呼ばれる「外羽根式」があります。

②ストラップ・シューズ
ベルト状のバックルとストラップの開閉により、フィット感を調整できるデザインです。とくに代表的なモデルとして、ヨーロッパのアルプス地方の修道士が履いていたサンダルを原型とする「モンクストラップ」があります。

③エラスティック・シューズ
履き口の前か脇に、伸縮性のあるゴム布地「エラスティック」を縫い付けることで、着脱を楽にしたデザインです。1830年代のイギリスで生まれた「チェルシーブーツ」が起源だと言われています。

④スリッポンシューズ
シューレースやストラップなどのパーツが付属せず、靴の形状だけで足を固定するスタイルのデザインです。代表的なモデルは「ローファー」です。

⑤ブーツ
くるぶしを覆う高さのあるデザインの総称です。一般的なシューズ「短靴」とは丈で区別され、①では「チャッカブーツ」、②では「ジョッパーブーツ」、③では「サイドゴアブーツ」などが、このカテゴリーに含まれます。


Q:トゥのデザインはどんなものがある?

トゥのデザインはどんなものがある?

トゥ(つま先部分)のデザインは、5つに大別することができます。

①プレーン・トゥ
つま先や縫い目に装飾が施されていないシンプルなもの。内羽根式のレースアップ・シューズであれば、礼装にも活用できます。

②キャップトゥ(ストレートチップ)
つま先に一文字状のステッチングを施したもの。ビジネスシューズとして人気の高いデザインです。

③エプロンフロント(Uチップ)
甲からつま先にかけてU字状の「モカシン縫い」を施し、印象的なステッチが特徴。狩猟やゴルフなど、野外スポーツ用が出自のため、ややカジュアルな印象です。

④セミブローグ(メダリオンチップ)
つま先に「ブローキング」と呼ばれる穴飾りが一文字状に施されており、さらに花状の穴飾り「メダリオン」がついているもの。礼装以外で幅広く使うことができます。

⑤フルブローグ(ウイングチップ)
つま先のブローキングがW文字状に施されており、セミブローグ以上に華やかな印象を演出。内羽根式であれば、スーツスタイルにも合わせることができます。


Q:ジョセフ チーニーの代表的なモデルは?

「ALFRED(アルフレッド)」
クラシックな顔つきで、日本人の足型に合いやすいドレスシューズ。125コレクションのキャップトゥ(ストレートチップ)モデル・アルフレッド。

「WILFRED(ウィルフレッド)」
125コレクションの中で、アルフレッドと対をなす代表的なセミブローグモデル・ウィルフレッド。

「CAIRNGORM Ⅱ R(ケンゴン Ⅱ R)」
ジョセフ チーニーの質実剛健なものづくりを体感できる、カントリーコレクションの代表モデル・ケンゴン Ⅱ R。


Q:アッパーの素材には種類がある?

カーフレザー
生後6か月位までの以内の仔牛の原皮を用いた革のこと。傷が少なく、きめ細やかなのが特徴です。ジョセフ チーニーでは主に、ドイツの名門タンナー・ウィンハイマー社の高品質なカーフレザーを使用しています。

スムースレザー
ビジネスシューズに使われているレザーとして定番の、なめらかな表面の革。組織が細かく、丈夫で柔軟性にも優れた「銀付き革」と、加工を施して原皮のシワなどを綺麗にした「ガラスレザー」に大別されます。

型押し
独特の模様=シボが表面に出ているレザー。傷がついても目立ちにくいため、ビジネスとカジュアル兼用の革靴に向いています。ジョセフ チーニーで使用している「グレインカーフ」は、大粒のシボがあり、傷や汚れ、水濡れに強いのが特徴です。

スエード
原皮の裏面を起毛させて、アッパーに使えるように仕上げたレザー。やわらかで温かみのある質感が特徴です。型押しよりもカジュアルな印象のため、ビジネスシューズには向かない一方で、オフにスタイルの幅を広げる一足として重宝します。


Q:ソールの特徴を教えてほしい。

ジョセフ チーニーで扱っている代表的なソールは主に3種類。またソールの厚みには2つの種類があります。

レザーソール
分厚い牛革を積み重ねて作る、アウトソールの元祖です。適度なしなやかさとクッション性があり、通気性と耐熱性に優れているのが特徴です。天然繊維であるレザーを使用しているため、使い込むことで生まれる味わいや風合いの変化を楽しむことができます。

ダイナイトソール
合成ラバーを用いた、イギリスを代表するソールの一つです。雨に強いため、雨用ドレスシューズのアウトソールにも最適。グリップ力に優れた凹凸は、側面から見えにくいため内羽根式のようなドレスシューズに付けても、雰囲気を損なわないのが魅力です。

コマンドソール
軍靴などに使用された、無骨な印象のソール。タイヤのように深く刻まれたトレッドパターンにより、山道や岩場のような路面でも安定した歩行をすることができます。

シングルソール
アウトソール一枚で構成されているシンプルなもの。足なじみが早く、ソール本来の感触を体感することができます。

ダブルソール
アウトソールとインソールの間に、ミッドソールと呼ばれる革底をもう一層敷き詰める二重構造の仕様です。ソールが分厚くなる分だけ、より頑丈になります。

革靴を探す

【革靴を探す】

革靴を探す際のポイントは、自分のライフスタイルに合わせて、TPOにあったものを見つけること。そうすれば、きっとあなたに相応しい一足に出会うことができるはずです。


Q:ビジネススタイルと相性の良い革靴は?

ビジネススタイルと相性の良い革靴は?

ビジネスシューズの定番と言えば、やはり黒のキャップトゥ(ストレートチップ)です。ジョセフ チーニーでは、「ALFRED(アルフレッド)」や「LIME(ライム)」などのモデルがそれにあたります。また、スーツスタイル以外にブレザーなどのジャケパンスタイルが多い方であれば、華やかな印象のあるセミブローグモデル「WILFRED(ウィルフレッド)」もおすすめです。

ビジネススタイルと相性の良いコレクションを、こちらの記事で比較していますので、ぜひご覧ください。


Q:冠婚葬祭にふさわしい革靴は?

冠婚葬祭時、もっともオールマイティに使えるのは黒の内羽根式キャップトゥ(ストレートチップ)モデル。ジョセフ チーニーでは、「ALFRED(アルフレッド)」「LIME(ライム)」がおすすめです。


Q:雨の日にも履ける革靴は?

雨の日にも履ける革靴は?

カントリーコレクションのモデルがおすすめです。アッパーのレザーには、大粒のシボで傷や汚れ、水濡れにも強い「グレインカーフ」を使用。アウトソールには、雨天時の荒れた路面に強いコマンドソールを採用しています。

とくに「CAIRNGORM Ⅱ R(ケンゴン Ⅱ R)」は、タン部分の羽根を縫い付けることで小石や水が入りにくい上に、雨の侵入を防ぐ構造の「ヴェルトショーンウェルト仕様」を取り入れています。


Q:サイズ選びで重要なポイントは?

革靴のサイジングは大切。サイズ選びを誤ってしまうと、疲れが溜まりやすくなってしまい、ひどくなると痛みが起こってしまいます。足の形は人それぞれ異なるため、下記を踏まえてショップスタッフに相談しながら、しっかりとフィッティングを選びましょう。

①足がもっともむくむ時間を知る。
人間の足は重力の影響で、夕方になると水分や老廃物が溜まりやすいと言われています。個人差はありますが、足がむくんで膨張する時間帯は誰にでもありますので、そのタイミングで革靴を購入する方がより疲れにくい一足を選ぶことができます。

②複数のサイズを試着してみる。
実際に試着する際には、面倒でも必ず複数のサイズを試してみるように心がけましょう。自分の適正だと思っているサイズのハーフサイズ上のものから順に、ハーフサイズずつ下げて履き比べ、ベストなフィッティングのものを選んだ方が、より正確なサイズの一足に出会うことができます。

革靴を履く

【革靴を履く】

革靴は購入して終わりではなく、履いて育てるのを楽しむことができるプロダクトです。ここでは、大切な革靴を長く愛用するための手入れ方法や、メンテナンス道具などをご紹介していきます。


Q:プレメンテってなに?

革靴を新品で購入した際に、履き下ろす前に行うメンテナンス。海外からの輸送や、保存時に革の水分や油が抜けてしまうと、固くて傷つきやすくなってしまいます。そのため、一度残っている古い油分等を取り除き、改めて塗り直すプレメンテが必要になります。この一手間により革に柔らかさが戻り、さらにワックスで磨いて表面をコーティングすれば、傷をつきにくくすることができます。自分で、また購入したお店にお願いするのも良いですが、靴磨きの店でプロにケアしてもらうのもおすすめです。


Q:シューホーンはなぜ必要?

革靴には基本的にかかと部分に芯が入っています。それにより、フィット感が高まり、靴の形も綺麗に保たれています。この芯の変形・破損を防ぎ、長く、美しく革靴を履き続けるために、必ずシューホーンを使用しましょう。また、十分に靴紐をゆるめてから着脱を行うのも大事です。


Q:簡単にできる手入れ方法を知りたい。

手入れの目的は、革靴から汚れを取り除き、革の内部に水分や油分を適度に補給し、柔軟で潤いのある良いコンディションを保つことです。月に一度程度のペースで行う簡単な手入れとして、片足につき保湿クリームを米粒3つ程度布に取り、靴の数カ所に置いてから、靴全体に広げて乾拭きするのがおすすめです。これだけでも革に潤いを戻すことができます。


Q:シワが気になる場合は?

シワが気になる場合は?

履きジワは、靴を履くうえで必ず生じるもの。深くついたシワが悪化すると、その部分のレザーが破損する可能性があります。残念ながら、ついてしまったシワは完璧に修復することはできませんが、手入れを通じて悪化を最小限にし、逆に味として楽しむことはできます。また、靴を長く良い状態で履き続けるためには革靴の木型にあったシューキーパーが欠かせません。ジョセフ チーニーでは純正のシューキーパーをご用意し、125ラストのモデルには専用のシューキーパーも展開しています。


Q:革靴はどのように保管するべき?

帰宅後、まずは靴紐をほどいてホールドされた状態を開放しましょう。靴についた汚れは、放っておくとさらなる汚れが積み重なってしまうので、その日のうちに軽いブラッシングをして表面の汚れを落とした方が良いです。また、同じ靴はできるかぎり2日連続で履くのを避け、履かない時にはシューキーパーを入れて履きジワを伸ばし、ソールの反りを戻しましょう。靴棚は湿気が溜まりやすいので、カビが発生するのを防ぐために、定期的な換気や吸湿剤を入れるなどのケアが必要です。


Q:リペアが必要になったら?

リペアが必要になった場合は、日本総代理店の渡辺産業にお送りいただくか、直営店の「BRITISH MADE」にお持ち下さい。

詳しくはこちらをご覧ください。


【番外編】

Q:ジョセフ チーニーの革靴が一番揃うお店は?

ジョセフ チーニーの総代理店である渡辺産業の直営店「BRITISH MADE」では、国内最多のラインナップをご覧いただくことができます。

全国の取扱店についてはこちらでご確認ください。


Q:オンラインストアはありますか?

「BRITISH MADE」のオンラインストアはこちらです。

ジョセフ チーニーの総代理店である渡辺産業の直営店「BRITISH MADE」では、国内最多のラインナップをご覧いただくことができます。

ウィルフレッド

知っておきたい本格靴の基礎知識 #3.ドレスシューズ編

ウィルフレッド

これまで2回にわたり、知っておきたい革靴のキホンを解説してきた連載企画も今回でラスト。締めくくりにご紹介したいのは、本格靴の王道として外せないドレスシューズです。あらゆる靴ブランドが展開していて、一見どれも同じように見えるだけに、どれを選べばいいか迷う方も多いのでは。そこで、チョイスの際に注目すべきポイントをまとめました。

ドレスシューズ

そもそも、ドレスシューズとは?

ビジネスシーンでの装いに不可欠なアイテムといえばドレスシューズ。スーツやテーラードジャケットにはもちろん、クールビズなどジャケットを着ない場合でも、グレースラックスに上質なドレスシューズをコーディネートするだけでビジネスらしさを演出できます。シンプルでフォーマル度の高い「ストレートチップ」から穴飾りでデザイン性をプラスした「フルブローグ」と呼ばれるものまで、デザインによっていくつかの種類に分けられていますが、共通するのはスリムなシェイプと薄いソール、そして一般的に「内羽根式」と呼ばれる、靴紐を通す部分が甲と一体化した構造を採用していること。また細かいところでは、パーツを縫い合わせるステッチもカジュアルな革靴に比べて繊細に施されているのが特徴です。
近年では一見ドレスシューズに見えてスニーカーの作りを採用したコンフォートシューズも増えていますが、伝統的な仕立てのものはソールがすり減っても交換できるため、修理しながら長く愛用できるというメリットがあります。もちろんビジネススタイルの格もアップでき、トレンドに左右されず履ける靴なので、やはり大人として一足は正統派ドレスシューズを持っておきたいものです。

メンズファッションの基本というべき靴

歴史ある本格靴ブランドなら必ずといっていいほどラインナップし、男性のワードローブにおける基本中の基本とみなされているドレスシューズ。その歴史をひもとくと、現在私たちが着ているスーツの成り立ちと少なからず関連を持っていることがわかります。もともとは「ラウンジスーツ」と呼ばれ、室内で寛ぐための服だったスーツが外出着として市民権を得ていったのは19世紀後半〜20世紀初頭のこと。当初、その足下は編み上げのブーツが主流でしたが、時代を経るにしたがって丈の短い紐靴も増え、20世紀に入ると現在のドレスシューズにかなり近いものが多く見られるようになっていきました。室内着だったスーツが着用の簡便さから正装として広がり、次第に体型を美しく見せる服として進化していったのと同様に、ドレスシューズも脱ぎ履きのしやすさから一般化し、現在のように抑揚を効かせた美しいシェイプに洗練されていったと考えられます。

“良いドレスシューズ”を選ぶ3つのポイント
きめ細かくしなやかなカーフ素材

ドレスシューズのクオリティを決定的に左右するのがアッパーの素材。同じ牛革でも、柔らかい仔牛の皮を使った「カーフ」から分厚い成牛の皮を加工した「ステアハイド」まで、さまざまな種類が存在します。本格靴ブランドが作るドレスシューズには、しなやかできめの細かいカーフが使用されています。履き心地がよく、見た目にも高級感があり、立体的なシェイプを形作れるのが特徴です。ジョセフ チーニーのドレスシューズのメインコレクションである125ラストを採用したモデルには、カーフの中でも最高級といわれるドイツのワインハイマー社製ボックスカーフを採用。質感の美しさは絶品で、磨くことによって輝くような仕上がりになります。

ドレスシューズ

靴作りの美学が表れる羽根周り

靴に詳しい人ほどこだわっているのが、羽根周りのデザインです。まずポイントとなるのがアイレット(靴紐を通す穴)。ミリタリーやカントリーと異なり、ドレスシューズではハトメが外側から見えないものが基本となりますが、加えてアイレットの数にも注目。左右5つずつ穴が開けられた5アイレットがクラシックなドレスシューズの定番とされています。イタリア靴などでは6アイレットのものもしばしば見られますが、これらはよりモダンな印象に。また、アイレットの並び方も靴の印象を左右します。ジョセフ チーニーでは全てのアイレットが直線状に並んでいるものが多く、これは端正で折り目正しい雰囲気に繋がります。対して、爪先に向かって広がっているものは優美な顔つきに。一見どれも同じように見えるドレス靴ですが、微差を比較しつつさりげないこだわりを込められるのが面白いところなのです。

シングルソール

美しく仕上げられたシングルソール

ドレスシューズでは薄いシングルソールが用いられるのが一般的ですが、上質なものはコバ(ソールの断面)がしっかりと磨かれ、滑らかに仕上げられています。さらにブランドによっては、「ツメ仕上げ」と呼ばれるフィニッシュを施すことも。写真のソールを見ると、コバの上下が盛り上がっていることがわかります。このツメ仕上げを行うことで、ソールのエッジが立ってキリッと引き締まった印象に。ジョセフ チーニーのドレス靴では、ひと手間かけてこの仕上げを採用しています。

ウィルフレッド

ジョセフ チーニーのドレスシューズ二大定番はこちら
ビジネスカジュアルにも映える「ウィルフレッド」

ドレス靴の定番といえばストレートチップ。ジョセフ チーニーでも下の「アルフレッド」が長らく人気No.1をキープしていましたが、近年それに並ぶ人気を博しているのがこちらの「ウィルフレッド」。控えめな穴飾りがあしらわれたセミブローグの一足です。さりげない装飾性がプラスされているため、ノータイやノージャケットの装いにもマッチする汎用性が魅力です。木型は2011年にブランド125周年を記念して製作された「LAST125」。バランスのよいラウンドトウによる正統派のシェイプに加え、ヒールカップが小さめに設計されているため日本人の足に合いやすいのも特徴です。

アルフレッド

結婚式にも活躍する「アルフレッド」

こちらは王道のストレートチップ。「ウィルフレッド」同様にLAST125を採用し、アッパーはワインハイマー社のボックスカーフを使用しています。スーツはもちろんタキシードまで合わせられるフォーマルなデザインのため、日常のビジネスシーンだけでなく冠婚葬祭にも対応します。

photo Masahiro Sano text Hiromitsu Kosone

AVONC

知っておきたい本格靴の基礎知識 #2.カントリーシューズ編

AVONC

知っているようで意外と知らない革靴のキホンを、全3回にわたって解説する連載企画。第2回は「カントリーシューズ」をテーマにお届けします。ミリタリーシューズと似ているけれど、違いはどこにある? ベストマッチなコーディネートは? などなど、気になる疑問にお答えいたします。

カントリーシューズ

そもそも、カントリーシューズとは?

前回紹介したミリタリーシューズと同様、革靴の中ではカジュアルに分類されるカントリーシューズ。ぽってりとしたラウンドトウ、厚みのあるソール、丈夫な作りなど、ミリタリーと共通する点も多いですが、カントリーならではの特徴もあります。中でも象徴的なのが、トウ部分を翼のように切り替えたウイングチップと、全体にあしらわれた穴飾り。ブローギングやパーフォレーションと呼ばれるこの意匠は、16世紀ごろ英国で生まれたものとされ、もともとは機能性を高めるために考案されたといわれています。当時の英国には湿地が多く、しばしば靴の中に水が入り込んで溜まってしまうことがあったそう。そこでアッパーに穴を開け、浸入した水を外に出しやすくしたのがブローギングの起源となりました。やがてそれが装飾となり、カントリーシューズのアイコンとして広まっていったというわけです。
ブローギングのないミリタリーシューズが武骨でたくましい印象なのに対して、こちらは素朴でクラシックな顔つきが魅力。ワックスコットンジャケットやコーデュロイパンツなど、同じく英国カントリーをルーツとするアイテムとコーディネートするのが英国紳士定番の着こなしです。またビジネスカジュアルが浸透した昨今では、ジャケパンにカントリーシューズという仕事スタイルも増えてきています。

ブリティッシュトラッドに欠かせない靴

英国的なスタイルを築くうえで欠かせない存在となっているカントリーシューズ。質実剛健な印象がある一方で、クラシックな品格を感じさせる靴としても知られていますが、それは英国上流階級のたしなみであるハンティングシーンで愛用されていた歴史とも関係しています。1920年代ごろの写真を見ると、狩猟の定番であるロングブーツスタイルに加えて、ニッカーボッカーズにハイソックス、そして足下にカントリーシューズという装いの紳士たちを確認することができます。このように昔から貴族文化と結びついて継承されてきた靴だからこそ、さりげない品位と格調を醸し出しているのです。一方、カントリーシューズは古くから農作業用のワークブーツとして広く親しまれてきたという歴史もあり、階級を超えて英国人に愛されてきたものだということがわかります。ブリティッシュトラッドにカントリーシューズが不可欠なのは、こういった背景によるものなのです。

カントリーシューズの特徴って何?
ボリュームあるラウンドトウと穴飾り

カントリーシューズの定番デザインといえば、大小の穴飾りをライン状に配したブローギングとトウのメダリオン。このようなウイングチップのものはフルブローグとも呼ばれます。ドレスシューズにもフルブローグのデザインは存在しますが、カントリーの場合、ブローギングの穴が大きいのが特徴的。これによってカジュアル感の高い顔つきを演出しています。加えて、ぽってりとボリュームのあるラウンドトウもカントリーシューズらしさの源。ウィズ(横幅)も広めのものが多いため、履き心地もコンフォートで万人の足に馴染みやすいのも特徴です。ちなみにトウにあしらわれたメダリオンはブランドごとに独自の図案を採用していて、紋章のような役割も果たしています。

“羽根周り”もカントリーらしさの決め手

脱ぎ履きが容易で窮屈感が少ない外羽根式がカントリーシューズのスタンダード。ミリタリーシューズと共通する作りですが、こちらはアイレット(靴紐を通す穴)が左右4つずつとなっており、一般的な5アイレットに比べ一つ少ないのが特徴的です。締め付け感がさらに少なくなり、リラックスした履き心地になることに加え、見た目もカジュアルな印象がアップ。アイレットには金属のハトメが取り付けられているのもさりげないアクセントとして効いています。

水気から靴を守る「スプリットウェルト」

アッパーとソールをつなぎ合わせるために用いる「ウェルト」と呼ばれるパーツにも、カントリーシューズならではの特徴が。一見気付きにくいのですが、よく見るアッパーとソールの隙間をふさぐようにウェルトが取り付けられているのがわかります。これは「スプリットウェルト」と呼ばれる仕様で、悪路を歩いた際に水気が靴内部に浸入するのを防ぐ目的で考え出されたもの。アウトドア由来のカントリーシューズらしいディテールです。ドレスシューズに採用されるフラットウェルトと比べると、こちらのほうがソール周りにボリュームが出てがっしりとした印象になります。ちなみに、スプリットウェルトと同様の防水仕立てには「ストームウェルト」や「リバースウェルト」といったバリエーションも。前者はスプリットウェルトとよく似ていますが若干カジュアル感のある印象に、後者はウェルトの取り付け方が異なっています。

AVONC

ジョセフ チーニーおすすめのカントリーシューズは?
近年、人気急上昇中の注目モデル「エイボン C」

2009年に誕生し、ジョセフ チーニーのカジュアルシューズを代表する木型となっている「LAST 12508」を採用したカントリーシューズ。ボリュームをもたせつつ野暮ったく見せない適度なバランスに設計されたラウンドトウと、安定感のある大きめのヒールが特徴です。アッパーは上質感と力強さを兼ね備えたグレインカーフ。上品なウールパンツからラギッドなデニムまで幅広くマッチします。ヨーロッパでは以前から高い人気を博してきたモデルで、日本でも近年注目度が高まっているモデルです。

photo Masahiro Sano text Hiromitsu Kosone

ケンゴンⅡ R

知っておきたい、本格靴の基礎知識 #1.ミリタリーシューズ編

ケンゴンⅡ R

革靴の購入を考えているけれど、何を選んでいいか迷う! スーツに合わせるならどんな靴? カジュアル使いにおすすめなのは?……そんな疑問を抱える方のために、全3回にわたってお届けする連載企画。革靴の中でも代表的な3つのタイプを取り上げ、詳しくご紹介します。初回のテーマは「ミリタリーシューズ」。デニムやコットンパンツと相性抜群な、休日靴の定番です。軍由来ならではのユニークなディテールも見どころ。その魅力を徹底解説します。

ケンゴンⅡ R

そもそも、ミリタリーシューズとは?

その名のとおり、軍靴を由来とするミリタリーシューズ。現在ファッションとして浸透しているものの多くは、第一次・第二次世界大戦時代に生まれたものがルーツとなっています。デザイン上の大きな特徴となるのは、丸みを帯びたトウと全体的にボリュームのあるがっしりしたシェイプ。これはもともと、戦線に赴く兵士たちへ安定した品質の物資を大量に供給することが求められた戦時下において、さまざまな足の形にフィットする合理的な形状として考案されたものでした。
しかし、後年になると素朴でありながら独特な味わいがあり、男らしさを感じさせるデザインがファッションアイテムとしても注目されるようになります。過酷な戦地を踏破するために採用された頑丈な作り、そしてミリタリーシューズならではのディテールも機能美として愛好されてきました。革靴でありながらカジュアルスタイルにベストマッチで、かつ大人っぽく見せてくれるのも人気のポイント。なかでもジョセフ チーニーのミリタリーシューズは、英国ならではの格式を感じさせるのが特徴です。同じ英国軍由来のグルカショーツやタクティカルセーターと合わせれば、一格上の夏スタイルを築けます。

軍への供給実績は高品質の証

名門と称される靴ブランドの中には、かつて軍へミリタリーシューズを供給していたところも少なくありません。軍が求める基準を満たす靴作りができるということは、高い技術と品質の証明でもあったのです。実はジョセフ チーニーも、英国軍への供給実績をもつブランド。当時、軍に採用されたラスト(木型)とデザインを踏襲して現在ラインナップするのが、「ケンゴンⅡ R」と名付けられた写真のモデルです。タフな作りもさることながら、ミリタリーシューズならではの独特なディテールも注目のポイント。以下、具体的に見ていきましょう。

ケンゴンⅡ R

今や希少な「ヴェルトショーン製法」

「ケンゴンⅡ R」の大きな特徴となっているのが「ヴェルトショーン製法」と呼ばれる仕立て。本格靴の主流であるグッドイヤー製法と似ていますが、こちらはソールの上を覆うようにアッパーの革を縫い付けているのがポイントです。グッドイヤーの場合、アッパーがウェルト(アッパーとソールを繋ぐための細い帯状の革)の内側に潜り込む形になるため、この隙間から雨水や細かいホコリが靴の中に入ってきてしまいますが、隙間のないヴェルトショーンではこれを防ぐことができるというわけです。悪路の多いミリタリーシーンで重宝されてきた作りですが、非常に手間がかかるため、今では歴史ある英国靴メーカーでもヴェルトショーン製法を行っているところはごくわずか。機能性に加えて、デザインのアクセントとしても効いています。

ベローズタン

ホコリや雨水を防ぐ「ベローズタン」

一見わかりにくいのですが、シューレースを外すとさらなるミリタリーディテールが。足の甲を覆う “ベロ”が羽根の部分と繋がっていることがわかります。これは「ベローズタン」と呼ばれる仕様で、トレッキングシューズなど登山靴とも共通する作りです。ベロと羽根の間からホコリや雨が入ってくるのを防ぐためのもので、上のヴェルトショーン製法と合わせて悪路対策を目的として採用されています。外からは見えないディテールだけに、これを省略しているミリタリー風シューズも多い中、「ケンゴン Ⅱ R」では革の裁断や縫製にひと手間増えるのもいとわず“本物”の仕様にこだわっています。

コマンドソール

悪路をものともしない「コマンドソール」

さまざまなバリエーションが存在するラバーソールの中でも、極めて高いグリップ力と安定性を誇るのがコマンドソール。険しい山道やぬかるみ、砂利道など、コンディションの悪い地面用に開発されたものです。タウンユースでも快適さを発揮し、雨上がりやゴツゴツ
した石畳などを歩いても疲れにくいのが特徴。また、サイドから見てもわかるほどくっきりとした凹凸が刻まれ、がっちりと厚みがあるため、タフで男らしい印象を演出してくれるのも魅力です。武骨なミリタリーシューズのデザインと相性抜群。「ケンゴン Ⅱ R」では英国イッツシェイド社製のコマンドソールを採用しています。

ケンゴンⅡ R

ジョセフ チーニーのおすすめミリタリーシューズは?
ローカットでオールシーズン履ける「ケンゴン Ⅱ R」

75年以上前から存在したと言われており、英国軍にも提供していた木型「LAST4436」を採用するミリタリーシューズ。ノーズが短めでボリュームのあるラウンドトウが独特な愛嬌を備えています。ウィズ(横幅)が広めのため締め付け感がなく、リラックスして履けるのも魅力。アッパーのデザインもかつての英国軍採用モデルを踏襲。トウに入った2本のツインステッチと、V字に革を切り替えたサイドが印象的です。ブーツが多いミリタリーシューズですが、こちらは春夏にも活躍するローカット。雨の日でも滑りにくく、作りも極めて丈夫なので、天候を問わず長く愛用できる一足です。

photo Masahiro Sano text Hiromitsu Kosone