ジョセフ チーニー ディクショナリー #1

本格派ミリタリー仕様にドレス顔
「CAIRNGORM ⅡR」

品の良さを漂わせる重厚なルックスと、悪路にも対応する機能性を兼ね備える「CAIRNGORM ⅡR(ケンゴン)」は、ブランドを代表する一足です。せわしなく行きかう現代人のライフスタイルに寄り添うディテールにフォーカスを当ててみたい。

01 DESIGN

ケンゴンに採用されている木型は、イギリス本国では“ミリタリーラスト”と呼ばれる『4436』。英国軍の靴に使用されていた背景を持ち、ノーズが比較的短く、丸みを帯びたフォルムが特徴です。

外羽式のレースアップシューズでダブルのツインステッチ、ここにもミリタリーシューズにみられる細やかな演出が。足を入れる開口部は広めの造りで、足首の稼働を制限することなく、見た目以上に履きやすさ・動きやすさを実感できます。

締め付け感がなく、リラックスして履けるよう広めのウィズが採用されています。また、ヒールは“ミリタリーシューズ”と呼ぶにふさわしい大ぶりのものが導入。重厚感を感じさせながらも、長く履いていても疲れにくいようにバランスが計算されています。

02 STRUCTURE

カントリーテイストなデザインなのにドレスの香りを醸す「CAIRNGORM ⅡR」は、デニムや古着、ワークウェアといったラギッドなスタイルはもちろん、上品なジャケパンスタイルにも合わせやすい汎用性の高さが魅力のひとつ。ここからは、このモデルのもう一つの魅力である機能的なディテールについて深掘っていきます。

“悪路でも履ける”ことを実現したケンゴンⅡRは、雨水や土埃の侵入を防ぐ効果がある「ヴェルトショーン製法」が採用されています。アッパーのグレインカーフをウェルトの中に潜り込まさずに、ソールの上を覆うように縫い付けます。つまりコバの見えているところはアッパー生地と地続きになっている、というワケです。

過酷な環境での使用を想定したミリタリーシューズとしては重宝されてきた作りですが、非常に手間がかかるため採用するメーカーもごくわずかになっている稀少なディテールです。

ラバーソールの中でも、きわめて高いグリップ力と安定性を誇る「コマンドソール」が採用されています。側面から見ても分かるほど凹凸がはっきりとしており、厚みがあるためタフで男らしい印象を演出してくれます。

足の甲を覆うベロが外羽と繋がっている「ベローズタン」と呼ばれる仕様です。広くトレッキングシューズやマウンテンブーツなどにも見られますが、雨や埃が侵入してくるのを防いでくれています。

“より良い履き心地”を追求した特殊ウェルト製法

目に見えない構造的意匠を知るために、シューリペア界の草分け的存在だった「ユニオンワークス」にケンゴンⅡRの解体を依頼。同社の代表と工場長に、モノづくりの観点から批評していただきました。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。
解体することで見える、
知られざるモノづくりの意匠。

ミリタリーに出自を持つケンゴンⅡRは、充実した機能と普遍的なデザインを兼ね備え、“長いお付き合い”に相応しい一足です。まさに「良いモノを、長く大切に使う」という英国ライフスタイルの本質を体現しているモデルといえます。今後の人生という旅路を共に踏みしめる“一生モノ”として、是非ご検討いただければ幸いです。

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