スタイリストが語る、トラディショナルシューズの魅力。 村山 佳世子


スタイリングに取り入れやすい、マニッシュシューズ。

約25年のスタイリスト歴を持つ村山佳世子さんは、意外にも昔からメンズのスタイルに惹かれていたのだそう。とくに、比較的スタイリングに取り入れやすいアイテムがメンズライクな革靴だと言います。昨今では、女性から市民権を得ている革靴ですが、どんな点が魅力なのでしょうか。「ジョセフ チーニー」のお話とともに語っていただきました。

好きなモノに囲まれる幸せな仕事。

— スタイリストという仕事の魅力を教えてください。

昔からファッションが好きで、携わることができるお仕事に就きたいという想いがありました。私の若い頃は、雑誌がファッションの情報を得る情報源でしたので、色々な雑誌を読んでいくうちにスタイリストという職業に憧れましたね。現在は、集英社の『eclat』や『Marisol』でスタイリングのお仕事を頂いたり、ブランドのカタログやモデルのスタイリングなどを手がけることもあります。また、今はまだ準備段階なんですが、スタイリングの単行本を出版する予定もあります。スタイリスト業をスタートしてから約25年の月日が経つのですが、次第に「自分らしいスタイリングとは何か」を考えるようになってきました。だからこそ、今回のインタビューも含めて、自分の好きなブランドにまつわるお仕事を頂けるのはとても幸せなことですね。それが何よりのやりがいです。

メンズファッションからインスピレーションを得る。

— スタイリングの着想を得るために意識していることはありますか?

街を歩いてメンズファッションをチェックするのが好きです。旅で海外へ行った際も、自分がお洒落だなと思う人は意外に男性が多いんです。メンズファッションはレディースに比べてアイテムの幅が狭いですが、その分こだわりが強いので、シンプルな服装でもお洒落に着こなしている方が多い印象です。最近では、男性と女性の着こなしが近くなっていることもあって、コレクションの中にメンズライクな靴を合わせているブランドも増えています。洋服を買いに行っても、トータルコーディネートとして革靴も含めて提案されているので、女性にとってもスタイリングに取り入れやすいですよね。メンズっぽい革靴を合わせるだけで、現代的な着こなしに見えますし、ヒールに比べて歩きやすいというのも魅力だと思います。

基本にあるのは、トラディショナルなデザイン。

— 革靴遍歴を教えてください。

若い頃に夢中になったのは、「グッチ」のビットローファーですね。履き潰した今でも大切に持っています。それから大人になるにつれて上品な紐靴を買うようになりました。基本的には「ジョセフ チーニー」や「J.M.ウェストン」
のように、シンプルでトラディショナルなデザインの革靴が好きですね。その中で、色味やデザインが異なるものを気分やトレンドに合わせて買い足すことが多いかもしれません。シルエットで言えば、「マルタン・マルジェラ」のように丸っぽいフォルムの革靴も好きなんですが、「チャーチ」のコンビシューズのように細みでスタイリッシュな革靴も好きですね。元々、あまりヒールを履かないので、楽をしたいけどスニーカーを履けないようなTPOの時に革靴は大活躍していますよ。

着こなしに取り入れやすいスタイリッシュな面構え。

— 「ジョセフ チーニー」の魅力を教えてください。

ジョセフ チーニーの輸入総代理店である渡辺産業さんで見せて頂いて、よくスタイリング用にお借りしていました。伝統があり定番モデルも揃っていますし、ラストの形がスタイリッシュなので女性の着こなしに取り入れやすいんです。私はウイングチップが好きなので、このモデルを自分用に選びました。装飾のあるデザインですが、フォルムが美しい分、上品に見えるところが好みです。雰囲気のあるブラウンカラーもとても気に入っています。茶系のレザーは、ブランドによって色味が異なるので面白いですよね。

あえてカジュアルな着こなしに取り入れたい。

— 「ジョセフ チーニー」はどんなスタイリングに合わせたいですか?

デニムとの相性は抜群だと思います。知人のライターさんに教えてもらった写真集に、デニムにトラディショナルな革靴を合わせている着こなしが載っていてとても新鮮でした。私自身、一年を通じてデニムを履くことが多いので参考になりましたね。あとは伝統的なデザインだからこそ、バギーパンツやクロップドパンツのようにカジュアルなパンツに合わせるというのも良いかもしれません。

トレンドに左右されず、長く愛用することができる。

— 女性に革靴を勧めるとしたら、どんな点がポイントになりますか?

トラディショナルな革靴の魅力は、季節や時代に関係なく履けるところだと思います。女性にとっては少し値段の張る革靴かもしれないですが、何年も履けるという意味では決して高い買い物ではないと思います。たとえば、パンプスなんかだと汚れて捨ててしまうこともあるのですが、メンズライクな革靴は汚れや傷、シワも味になるのでずっと愛用できますよね。たとえ履かないシーズンがあったとしても、履きたい気分の時に履けるので、捨てずにずっと持っておきたくなるというのも魅力です。

スタイリスト
村山 佳世子さん

文化服装学院スタイリスト科を卒業後、アシスタントを経て、1992年に独立。『non-no』『LEE』『BAILA』など数々の女性誌でスタイリングを手がけ、『Marisol』には創刊当時から携わる。ブランンドカタログやモデルのスタイリングの活動が中心。

photo TRYOUT text K-suke Matsuda